今季のJ1昇格組のうち開幕戦に勝利したのは大宮だけだった。J2が創設された99年から昨年までのJ1昇格チームの開幕戦は、通算10勝11分け20敗と大きく負け越し。勝ったのは12年の東京が最後で、13年以降の延べ9チームは計3分け6敗と未勝利。ただ、勝った延べ10チームはいずれもそのシーズンのJ1残留を決めており、昇格組に限ると、開幕戦は「年間34分の1試合」にあらず。大宮にとっては吉兆データだ。

 昨季の大宮はボールポゼッションで相手を圧倒し、常に主導権を握るスタイルでJ2を制した。平均ボール保有率はJ2最高の55%に達した。だが、今回のJ1復帰初戦となった東京戦は同34%。シュートも自チームの倍の14本も打たれた。J1とJ2のレベルの差が数字に如実に表れた。渋谷監督が理想とする「攻守に主導権を握る」という戦い方ではなかった。

 それでもスコアは1-0。粘り強く守って速攻からワンチャンスをものにした。昨季J1年間4位の東京に勝って波乱を起こした。開幕戦の1勝はJ1残留に直結してきた歴史がある。この勝ち点3はとてつもなく大きい。【石川秀和】