9月29日に母を亡くした清水FW原一樹(23)が1日、通夜前に練習に参加した。悲しみを胸に秘め、4日の東京戦(味スタ)に集中している。

 つらくないはずはない。だが、原は気丈だった。母裕子(ひろこ)さん(享年52)が亡くなって2日後、普段通りに練習を行った。「これでサッカーを休んでも、お母さんが悲しむだろうと思う」。練習を終えると、急いで通夜に向かった。

 9月の休日は、お見舞いで東京と静岡を往復する日々を送っていた。そんなそぶりは一切見せなかったが、決勝弾を決めた先月23日の東京V戦後は、さすがに胸を詰まらせた。「母が入院していて…。病状?

 結構重いです。その中で出て点を取れたのが良い薬になるかな」。翌日早朝、自分の記事が載る新聞を買い込み、病院に駆けつけた。「すごい喜んでくれました」。サッカーに打ち込むことで母を励まし続けてきた。

 だからこそ下は向かない。今日は葬儀だが練習参加を直訴。長谷川監督も「『お母さんのそばに』って言っているが、明日も来るって言っていました。つらいと思うけど本当に強い」と、目を細めた。「お母さんの最後にいられた。あとはサッカーで頑張って、見てもらおうと思います」。天国の母に、原の思いはきっと届いている。【浜本卓也】