セールスお断り!?

 J1昇格を決めたJ2山形の小林伸二監督(48)が3日、来季の戦力補強について言及し、代理人が推薦する選手を安易に獲得しない意向であることを明かした。移籍市場のリストに名前が挙がっていない、さらに高いレベルの人選をフロントに要望。「選手育成」が信念であり、得意分野の同監督は「面白い選手が欲しい」という言葉で、有望選手を補強する方針を説明した。

 「まだ(来季続投するかどうか)契約してないんだけどね」。そう笑って前置きした上で小林監督は「外国人枠3枠とアジア枠1枠をフル活用してほしい、とフロントにお願いしてある」と構想を明かした。今季登録の外国人選手はDFレオナルドとFWリチェーリ(東京から期限付き移籍中)の2人。だが来季は「J1に残るための選手が必要。厳しい局面を1人で打開できる攻撃力を持った外国人選手」と要望した。

 さらに小林監督らしさが出たのは、外国人を含めた選手獲得方針だ。「代理人の中で挙がっている選手より、もう1ランク上の面白い選手を獲得してほしい。そう伝えてあります」。台所事情が厳しいからといって、移籍交渉の代理人=セールスマンから売り込まれた選手を、安易に獲得するつもりはない。埋もれた選手だとしても、同監督には素材を生かす手腕がある。

 今季は、J通算無得点だったFW長谷川をチーム得点王(13点)に成長させるなど、大型補強に頼らず、J1昇格に導いた。「補強に成功したら、DF園田ら若手を育てたいね」とも話した。知名度は低くても、原石を発掘し磨きがいはあるということだろう。

 指揮官の要望に強化責任者の中井川茂敏GM(50)は「どこまで小林監督の希望に添えるか。今後、強化会議で話し合って決める。ブラジル人選手の獲得も考える」と前向きに検討する意向。小林監督も「GMは面白い選手を見てくれてると思います」と信頼を寄せた。“セールスマン”から標的にされる昇格組だが、戦力の見極めに、妥協はしない。【木下淳】