<J2:仙台1-0札幌>◇第1節◇8日◇札幌ド

 石崎サッカーは面白い!

 コンサドーレ札幌は、J2開幕戦で仙台と対戦し、後半21分にセットプレーから失点し0-1で敗れた。3季連続の黒星発進となったが、石崎信弘監督(50)が教え込んできた高い位置からの積極的なプレスが機能。仙台の堅守を切り崩し、決定機をつくるなど、攻撃的サッカーで何度も見せ場をつくった。フィニッシュの精度という課題は残したが、15日の次節鳥栖戦までに修正し、今季初勝利を目指す。

 石崎監督がたたき込んできた教えを、選手が開幕戦から実践した。前半2分、いきなりチャンスが訪れる。ハーフウエーライン付近でボールを奪ったMFクライトンから右サイドを駆け上がったFWキリノへ展開。キリノからのクロスを中央に走り込んだFW石井が頭で合わせた。ボールはゴール右に外れたが、足並みそろわない仙台DF陣をほんろう。あいさつがわりの「攻撃的守備」でゲームの主導権を握った。

 その1分後には、中央のクライトンから右サイドでボールを受けた石井が中央に切り込んで左足でシュート。さらにその1分後にも、MF西からパスを受けたクライトンが強烈なミドルシュートを放つ。仙台に攻撃の時間を与えない波状攻撃で「ホームでは面白いサッカーをする」と豪語した指揮官のサッカー哲学を体現した。

 敗れても石崎節は強気だった。「選手はよく頑張った。セットプレーは何が起きるか分からない。それが上手じゃったということ。戦術じゃない」。後半21分、仙台梁のFKのこぼれ球をDF菅井に押し込まれたが、そこからが石崎采配の本領発揮だった。同17分にMF砂川、同24分にMF藤田、同26分にFW宮沢とわずか9分間に3人を次々と投入。DF西嶋も前線に上げ、DFは趙、吉弘の2人だけという超攻撃的な布陣で猛然と仙台ゴールに襲いかかった。

 ボールは奪いにいった。奪って攻撃につなげた。ただゴールを奪う姿勢が足りなかった。後半ロスタイムでは、MFダニルソンがゴール前30メートルでフリーでボールを受けたが、迷ったあげく横パス。得意のミドルシュートが放たれることはなかった。石崎監督は「ダニ(ルソン)は守備は素晴らしいものを見せてくれた。攻撃面はケガで、まだ追い込めなかった部分がある」と積極的な攻撃参加を期待した。

 昇格争いのライバルになる難敵仙台と互角に戦い、石崎イズムが浸透していることは証明された。「戦う気持ちは伝えられたかと思う。あとは点を取りにいく姿勢を改善していかないといけない」。札幌は3季連続で開幕戦無得点となったが、サポーターには得点以上の衝撃的な90分をプレゼントしたはずだ。まだ51分の1。ゴール前で精度を高め、次節鳥栖戦で勝ち点3を奪いにいく。【永野高輔】