コンサドーレ札幌の石崎信弘監督(51)が、劇的勝利より「安定」を求めた。オフ明けの8日、札幌・宮の沢で練習を再開。石崎監督は2点差を逆転した5日の栃木戦を振り返り、粘り強さを評価する半面、先制逃げ切りが昇格へのセオリーと説いた。先制した試合の勝率は、J2上位9チームでワーストの6割6分7厘。51試合の長丁場を乗り切るため、ドラマチックさよりも確実に勝ち点3をつかむ戦いを目指す。

 石崎監督がドキドキ感よりも“地味な勝利”を求めた。「ここ何試合か、結果は出ているが、ろくな試合がない。劇的なことはしないで普通の戦い方をしてほしい」。過去、J2で3クラブ6シーズンを経験した指揮官が、昇格への鉄則を説いた。

 先制逃げ切りが、J2で勝つ大原則と指揮官は考える。それだけに「3点取るなら最初から取れ。やらなくてもいい失点が多い」と2点差をはね返した栃木戦の劇的勝利にも苦言を呈した。常に追い込まれた状況からの勝利では、心身両面で負担は大きくなる。51試合を乗り切る戦い方ではないと考えている。

 今季先制した試合の勝率は、リーグ上位チームでは最悪の6割6分7厘。終始リードしたまま勝利を挙げた試合は3戦あるが、10人で耐えた横浜FC戦、3点先制後に1点差まで追い詰められた愛媛戦など一筋縄では終わらない試合が続いている。

 10日の相手徳島は6勝すべてで先制点を奪っている。札幌とは対照的な手堅いチームだけに、出足が肝心になる。GK荒谷は「先に点を取っておけば、相手がリスクを負って攻めてくる。そうなれば、うちがもう1点取るチャンスも出てくる」と話す。逆に先に失点した場合は攻めに転じなければならず、4月5日の熊本戦(0-4)のように大量失点の危険性も出てきてしまう。二の舞いは踏みたくない。

 「逆転勝利は盛り上がるけど、先に点を取られると苦しい。本当なら主導権を握った方がいい」とFW宮沢。徳島戦では、序盤で確実に試合を決める「普通の」勝ち点3を手にしたいところだ。【永野高輔】