<J1:横浜2-0浦和>◇第14節◇21日◇日産ス

 重い足取りでサポーターの前に向かうと、疲弊しきった体に、今季初のブーイングが浴びせられた。浦和は0-2で横浜に完敗。序盤こそ細かいパス回しで主導権を握ったが、運動量が低下し始めた後半は、プレーの精度も落ちてミスを連発し、何度もボールを奪われた。トップ下でプレーしたMF山田直は、ロッカー室へ引き揚げる際、DF闘莉王から「前半飛ばし過ぎだ。大事なところで100%の力を出せなかったらどうするんだ。ペース配分を考えないと」と諭されたという。

 走り負けた。多くの故障者を抱え、日本代表3人が抜けた5月下旬以降、本格的な実戦練習ができたのは前日20日だけだった。十分な体力を養えなかっただけでなく、「実戦で走る感覚」も鈍ったのかもしれない。加えて、ハーフタイム時点の湿度は94%。MF阿部は「時間がたつにつれて押し込まれて、足も止まった。相手の方が走っていた」。終盤はひざに手をついたり、腰に手を当てる選手が目立った。パスミスから球を奪われ、カバリングが遅れ、カウンターから失点。運動量が生命線のパスサッカーは、機能不全を起こしていた。

 完封負けは、開幕戦の鹿島戦以来。フィンケ監督は「前半30分良いプレーをしても、物足りない。その後はいつものボール回しができなかった。驚きだった。今ここで細かい敗因を語るのは難しい。分析をしていきたい」と神妙な面持ちで話した。これでリーグ戦は4戦未勝利で、3位に転落。フィンケ浦和が、体力を消耗する夏場を前に、大きな壁に直面した。【今井恵太】