<J1:山形2-1京都>◇第8節◇24日◇西京極

 期待の韓国人助っ人のゴールが、勝利を呼んだ。山形はアウェー京都戦で、今季初めて逆転勝ちした。0-1の後半37分、途中出場でリーグ戦デビューしたFWハン・ドンウォン(24)のファーストシュートが、移籍初ゴールとなる同点弾。流れが一気に変わり、ロスタイムのFW田代の決勝弾につながった。山形は勝ち点を11に伸ばし、8位に浮上した。

 得点嗅覚(きゅうかく)抜群の韓国人FWが、デビュー戦で結果を出した。DF宮本がゴール正面でシュートした瞬間、ハンはシュート体勢を整えた。「ボールがこぼれてくる」。頭の中に描いたシナリオ通り、相手DFに当たったボールが上空にやってきた。頭で同点弾を押し込み、サポーターの待ち受けるスタンド目がけ猛ダッシュ。「うれしい」。シンプルだが、気持ちのこもった日本語を口にした。

 Jリーグでの活躍を、韓国プロサッカーのKリーグ入りする以前から、ハンは誓っていた。小学生時代に、試合で訪れた日産スタジアムの雰囲気に魅了された。「ものすごい環境が日本にある。こういうところでやってみたいと思いました」。夢を実現させたハンに、よりレベルの高い海外でのプレー希望はないか、質問した。「僕にとっての海外はJしかない。山形で活躍したい」と、にこやかに語っていた。

 試合のリズムに入るのが難しい途中出場で「次またチャンスをもらえるアピールになった」と、喜びを隠せない移籍初ゴール。MF下村とともに、後半32分に投入した小林監督も「交代した選手が本当に頑張った。ハンは今日、何かしそうだった」と手放しで喜んだ。

 マグロの刺し身の食べ過ぎで体調を崩すなど、プロ意識の甘さも残るが、人なつっこい性格とこの試合のゴールで、仲間の信頼は増すはず。ゴールした後、サポーターの前でひざまずき「これからよろしくおねがいします」とつぶやいたハン。4月のリーグ戦を3勝1敗と勝ち越し、上昇気流に乗った山形。さらに勢いが加速する予感を、ハンの勇姿にサポーターが感じ取ったはずだ。【山崎安昭】