“500戦錬磨”の鉄人がDF陣に闘魂を注入する。コンサドーレ札幌が29日、アウェーで甲府と対戦する。公式戦通算500試合目の節目を迎えるDF藤山竜仁(36)は、6試合連続の先発出場が濃厚だ。守備陣は前節水戸戦でセットプレーから2失点と弱点を露呈。JFL、J2、J1で499戦を戦い抜いてきた36歳が、立て直しへ若いDF陣を鼓舞し、4戦ぶり完封勝利を呼び込む。

 修羅場をくぐりぬけてきた36歳「藤さん」が、どん底の札幌DF陣に魂を吹き込む。甲府戦を控えた28日の練習では雪が舞う中、猛然とボールを奪いに行くなど闘志全開。前節水戸戦はセットプレーから2失点とショッキングな敗戦だったが「いつまでも、うじうじしちゃいけない。こういう時期はある。ここをはね返せないと昇格はできない」と言った。

 節目の公式戦500試合目。クラブが求める“経験力”を発揮する時が来た。チームは勝ち点8の14位と低迷。浮上のきっかけが見えずに苦しんでいる。そんなときこそ「大事なのは自信とか協力とか助け合いの部分」。札幌が昨オフ、藤山獲得に動いた理由の1つは「波が大きい若いチームの精神的な操縦役に」ということだった。JFLからJ2、J1と昇格させた男だけが知る、最後に勝つためのメンタリティーを浸透させる役目を担う。

 甲府・小瀬スポーツ公園陸上競技場での試合には相性がいい。東京時代にリーグ戦で2戦、ナビスコ杯で1戦を行い3戦すべて完封勝ち。「選手もチームも変わっているし関係ないですよ」と因果関係は否定したが、まったく無関係ともいえない。山梨といえば富士山。名前の相性も味方に付けた「藤さん神話」を札幌でも継続する。

 チームの長所も短所も把握している。「DF陣の連係はよくなっている。シュート前のブロックも体を張れている。セットプレーも1人1人が“自分が守る”という意識を持てれば必ずはね返せる」。ここが踏ん張りどころ。頼れるアニキを中心に、札幌が4試合ぶりの勝ち点3をもぎ取りにいく。【永野高輔】