<J1:仙台2-1湘南>◇第21節◇28日◇ユアスタ
16位仙台が17位湘南との直接対決を制し14位に浮上、降格圏から抜け出た。後半7分にMF梁勇基(28)が左足のミドル弾で先制。一時は追いつかれたが、途中出場のFW中原貴之(25)が同28分に決勝ヘッドを決めた。MFフェルナンジーニョの欠場、FW赤嶺の負傷交代という逆境をはね返し、今季2度目の連勝を飾った。
朴柱成から中原。まるで再現VTRのようだった。昨季の湘南戦2戦3発の中原が「キラー」の面目躍如だ。途中出場から8分後の後半28分、DF朴柱成の左クロスが中央を飛び越え、反対側のペナルティーエリア外にいた中原に届く。頭突きのように強打した球が、ゴール左隅に吸い込まれた。手倉森監督が「そこから決めるのか」と舌を巻く。フェースガードで視界は悪くても体は覚えていた。試合前から「フェルナンジーニョがいなければ、ほかの人が決めるだけ」。有言実行の1発で勝利に貢献した。
6日の練習で味方に蹴られ、左目下の上顎(じょうがく)骨が折れた。全治3週間。監督から「完治してから戻ってくれ」と指示されたが、食い下がった。「フィジカルは大切ですが、再発のリスクは今も後も同じ。合流しなければ試合に出られない」と練習参加を直訴。骨がくっつく前だった。単純計算なら完治は、この日の前日27日。受け身では、間に合わなかった。
後半7分にはMF梁が先制弾を奪う。FW赤嶺に代わったMF太田が右サイドを突破してクロスを供給。相手クリアに猛然と走り込んできた梁が、ペナルティーエリアの外で合わせた。左足のダイレクト弾がGK野沢の両手を吹き飛ばしてゴール右に突き刺さった。
試合2日前の26日、梁は骨折で療養中のFW中島の自宅を夫人、斉藤夫妻とともに訪ねた。「奥さんたちが料理を作ってくれてリフレッシュできたし(前節大宮戦の前も中島)裕希の家に行って勝てたから。お見舞いというか験担ぎ」と勝利を信じ、欠場したMFフェルナンジーニョに並ぶチーム最多7点目を挙げた。
負傷で欠場が決まった時にフェルナンジーニョは泣いていた。手倉森監督は「よっぽど悔しかったんだろう。その涙に『ほかのメンバーで勝つから信じてくれ』と言った」。さらに赤嶺が前半終了時に負傷退場した中で中原が決めて、チームの一体感がより増した。
146日ぶりのリーグ戦ホーム勝利で降格圏から脱出。手倉森監督は「降格確率100%とか、今に見てろと思っていた」。言葉に力がある。泥沼から抜けた仙台が巻き返しの道を力強く踏み出した。【木下淳】



