<J2:横浜FC1-0岐阜>◇第32節◇30日◇長良川球

 イチローからパワーをもらって横浜FCのFWカズ(三浦知良、43)がチームを勝利に導いた。岐阜と対戦した横浜FCは相手の粘りに苦しんだが、後半39分にカズが交代出場して流れが一変。後半ロスタイムにFW久木野聡(23)がゴールを挙げ、競り勝った。24日に大リーグ・マリナーズのイチローと会って激励されたカズが、かすかな望みの残るJ1昇格へ向けて、チームを引っ張っる。

 引き分け寸前の後半ロスタイム、ゴール前のボールに相手DFと競り合ったのはカズだった。こぼれ球に走り込んだ久木野が今季初ゴール。「よく入れてくれた。ここで勝つのは大きいよ」とカズは振り返った。

 わずかな出場時間でも、抜群の動きを見せた。岸野監督からは「点をとって来い」と送り出された。相手DFラインの前でパスを受け、攻撃の起点となった。岸野監督は「前線で、点を取りにいくパワーになってくれた」と絶賛。カズも「期待に応えることができてよかった」と話した。

 パワーの源はイチローだった。24日の鳥栖戦から帰京後、都内で再会した。神戸時代からの親友とサッカーの話、野球の話に花を咲かせた。「すごく刺激になったね。相手はスーパースターだから」。報道陣から「自分もスーパースターじゃない」と言われると「オレはキング」と笑った。

 残り6試合で3位福岡との勝ち点差は8。全勝した上に上位の取りこぼしを待たなければならないが、あきらめてはいない。「最後まで、全力を尽くすよ」。Jリーグ18年、3万3084分間プレーしているカズは、最後の1試合、1分まで全力で勝利を目指す。