<J1:福岡1-2浦和>◇第33節◇26日◇レベスタ

 浦和が福岡に勝ち、J1残留を決定的にした。前半32分に先制を許したが、同ロスタイムにMF柏木陽介(23)が試合の流れを引き寄せる同点弾を押し込み、後半にはPKで追加点を挙げた。今季2試合目の逆転ゲームで勝ち点3を加え、2試合を残す降格圏16位の甲府との勝ち点差を6に広げた。得失点差で17点リードしているため圧倒的優位に立っており、甲府が今日27日に引き分け以下なら残留が確定する。

 傾きかけた流れを、ひと蹴りで引き寄せた。1点を追う前半ロスタイム、右サイドからのDF平川のクロスをFW田中がヘディング。こぼれ球を、柏木が左足で押し込んだ。

 J1残留への強い気持ちが乗ったシュートだった。柏木は「自分でもラッキーシュートだと思う。打ったら入ったし、時間帯もよかった。レッズにきて、ベストゴールかもしれない」と振り返った。試合前のミーティングで堀監督が選手へ伝えたことは、「超強気、超集中で戦おう」。いつもの強気と集中を上回る“超”がつく状態を要求。柏木は「気持ちが入っていた分(シュートが)ゴールにいってくれた」と認めた。

 同点ゴール後、福岡ボールでリスタートしたところで前半が終了。一気に盛り上がった雰囲気のまま、選手はロッカールームに引き揚げた。ハーフタイムにゴール裏から鳴り響く柏木の応援歌が、後半へと続く反撃へののろしとなった。

 後半18分には、ドリブルで抜け出したMF梅崎がペナルティーエリア内で倒され、PKを獲得。今季初めてアウェー席ゴール裏が完売したレベスタの赤に染まったゴールに、MFマルシオ・リシャルデスが右足で決めて勝ち越した。

 アクシデントも乗り越えた。前半25分、FWエスクデロが相手GKとの交錯プレーで左膝を負傷。接触直後に、自ら両手でバツ印を出すほどの痛みで、そのまま担架で運び出された。バランスを崩した流れのまま、同32分に福岡に失点していた。しかし残留への執念が、勝利を呼んだ。

 堀監督は「大きい試合になった」とうなずいた。同監督体制の初戦だった10月22日の横浜戦以来となる、今季2度目の逆転勝ち。指揮官のリーグ戦での2勝は、どちらも逆転で手にしたものだ。

 試合後のロッカールームでは、首位柏との最終戦のことが話し合われていた。今日27日に甲府が引き分け以下ならJ1残留が決まる。しかし他力に頼るつもりはない。勝負強さを手にしたチームの視線は、今季ラストゲームを向いていた。【保坂恭子】