<J1:名古屋3-1札幌>◇第6節◇14日◇豊田ス

 完全に力負け-。札幌は名古屋に敗れた。前半3、15分と立て続けに失点。後半32分にも失点し今季ワーストの3失点で5連敗を喫した。勝ち点は1のままで、開幕6戦未勝利となった。FW内村圭宏(27)、大島秀夫(32)の負傷離脱などでベスト布陣を組めず苦戦。またも勝ち点は奪えなかった。石崎信弘監督(54)はこれでJ通算150敗。鹿島、G大阪がともに勝ち、最下位に転落した。

 札幌が長いトンネルからなかなか抜け出せない。石崎体制での連敗記録は、これで5に伸びた。「早い段階での失点が、勢いに乗れない原因になってしまった」と指揮官。立ち上がり3分にいきなり中央を崩され失点した。同15分には右サイドを崩され、クロスボールを跳ね返そうとしたDF奈良の足に当たって、不運なオウンゴールになってしまった。

 永井、金崎、玉田、藤本らタレント豊富な相手に先手を奪われたことが最後まで響いた。リーグ初先発したボランチ前は「最初、速さについていけなかった。攻撃でゲームコントロールできなかったことが悔しい」と振り返った。序盤から圧倒的に押し込んでくる相手に戸惑った。プロ初のオウンゴールとなった奈良は「若いからといって、いつまでも経験とは言ってられない。1回のミスは繰り返さないようにしないと、結果は出せない」と言った。若気のいたりでは済ませない。10代の選手も他の選手同様、危機感を口にした。

 苦しい台所事情があった。12日の練習でFW内村が持病の腰痛、ベテラン大島が左太もも裏を痛め戦線離脱した。ボランチの宮沢を今季初めてトップ下に上げた。18歳の奈良、前をダブルで先発させたのも初の試みだった。勝つための挑戦は結果にはつながらなかった。それでも指揮官は前向きだった。「前は最初はミスが多かったが、途中からうまくボールを回せていた。宮沢も前でボールを収めてくれていた」。勝てないときも収穫を見いだし次に生かすのが石崎イズムだ。

 石崎監督はこれでリーグ通算200敗目となった。J通算150敗目は史上最多も、むしろそれだけの苦労と痛みを知っていることの裏返しでもある。「こういうときにばらばらになるのが一番良くない。今やっていることを続けていくことが大事」。リーグ4年ぶり1勝への道は険しいが、ここを耐えられるかがJ1残留のカギとなる。【永野高輔】