<天皇杯:柏3-2大宮>◇23日◇準々決勝◇熊谷陸

 柏のFW工藤壮人(22)が、2-2の後半48分に決勝点を奪い、4強を決めた。ロスタイム表示は3分。MF那須の右クロスを、相手DFに競り勝ち、頭で押し込んだ。「駆け引きで勝ったのは記憶しているけどゴールシーンは興奮して覚えていない」。ユニホームを無意識で脱ぎ、ゴール裏のサポーターへ向け、ガッツポーズを繰り返した。

 前半0-2で折り返し、ロッカールームに今季一番激しいネルシーニョ監督の雷が落ちた。「監督が僕らを奮いたたせてくれた。大宮は川崎F戦で0-3から4点とって逆転したし、あれを絶対やってやろうという気持ちが最後につながった」と工藤。MF沢のループシュート。DF増嶋の同点ヘッド。後半だけで3得点。今週VTRで見た大宮の逆転劇を再現した。

 最後まで諦めない姿勢は、J2熊本に完全移籍が決まった「ミスターレイソル」北嶋譲りでもある。すでに来季から背番号9を受け継ぐことも決定的。下部組織時代から憧れ、トップ昇格後はひたむきにゴールに向かう姿を見習ってきた。

 今季は右サイドでの起用も多かったが、7月のC大阪戦でハットトリックを達成し、リーグ戦チーム最多の13得点。「キタジさんの気持ちの強さを常にピッチで表現したいと思っている。今日あの場面で点を決められたからセンターFWとして、やっていけるかな」。エースストライカーの自覚も芽生えてきた。

 29日は横浜相手に、準優勝に終わった08年以来2度目の決勝進出を狙う。リーグ最終節で敗れACL出場権を逃した。天皇杯を取れば残り1枠を勝ち得る。工藤は「ACLを今年経験して、また出たい気持ちが強かった。このゴール、この勝ちを無駄にしないためにも優勝したい」。あと2つに迫った。【鎌田直秀】