「ワニ男」がプロで暴れる。鹿島の新人DF植田直通(18)が29日、茨城・鹿嶋市のカシマスタジアムで新入団会見に出席。186センチ、77キロと恵まれた体を持つ新人は、プレースタイルをワニに例えて説明するなど第一印象で周囲の気持ちをグッとつかんだ。目標はスタメン獲得と日本代表入り。大きな希望を胸に、Jの世界へ飛び込む。

 誰もが緊張するであろう入団会見で、植田が大物ぶりを発揮した。「自分を動物に例えるとワニ。ワニは水中に獲物を引きずり込んで仕留める。自分も空中戦や1対1とか、得意な部分に持っていって仕留めたい」と独特の表現でプレースタイルを説明。熊本・大津高ではU-19日本代表に選出され、クラブ幹部から「1年目から期待できる」と高評価を受けるセンターバックは、プロとしての最初の“仕事”で会場を沸かせた。

 もちろん達者なのは口だけではない。186センチ、77キロという恵まれた体格で、相手を圧倒してきた。同じく大津高から入団するMF豊川も「こいつが守備で負けたのを見たことがない。大学生でもプロでも吹っ飛ばしていた」と証言。自身より10センチほど高身長の選手と競り合っても、それ以上に高い位置でヘディングするなど、食い付いた標的は逃さない。

 目標の選手は、J屈指の守備力を誇る同僚のDF岩政。昨夏、鹿島の練習へ参加した際に食事へ誘われ「自分と同じ技術を身に付ければ、パーフェクトなディフェンダーになれる」と背中を押してもらった先輩だ。「(岩政)大樹さんを超えられるように、技術を盗みたい。1日でも早くレギュラーをつかんで、日本代表を目指したい」。中学時代はテコンドーで世界大会に出場した異色の新人。プロという荒波にもまれながら牙を磨き続け、野望を成し遂げる。【湯浅知彦】

 ◆植田直通(うえだ・なおみち)1994年(平6)10月24日生まれ、熊本県出身。宇土市立住吉中時代はテコンドーで日本王者となり、世界大会を経験した。大津高では11年U-17W杯に出場。昨年はU-19日本代表選出。本年度の全国高校選手権は1回戦敗退。約10クラブが獲得に乗り出したが「雰囲気がファミリーに近い」という理由で鹿島入りを決めた。186センチ、77キロ。利き足は右。