<J1:広島1-3横浜>◇第5節◇6日◇Eスタ

 “ハマのオヤジ”たちは、雨の戦い方を知っていた。首位横浜が昨季J王者の広島に圧勝し、クラブ新記録となる開幕5連勝を飾った。大雨のピッチで、ミドルシュートやセカンドボールを狙う冷静な試合運び。三十路(みそじ)のMF富沢清太郎(30)が豪快なミドルで先制点を挙げ、アラフォー外国人コンビの連係でダメを押した。平均年齢30・6歳のベテランイレブンが、チームを名門復活へとけん引する。

 雨の広島で、ダンディーなハマの男たちが輝かしい歴史を刻んだ。クラブ史上初の開幕5連勝。選手はびしょぬれのまま、笑顔で抱擁した。

 前半42分、相手のクリアボールを30歳ボランチのMF富沢が拾うと、ドリブルから右足を振り抜いた。約25メートルのミドル弾で先制。後半開始直後に追いつかれたが、29分に27歳のMF中町の右足で勝ち越し。アラサーが頑張れば、アラフォーも負けていられない。35分には、39歳のDFドゥトラが30メートルのミドル弾。GKがはじいたボールを37歳のFWマルキーニョスが押し込み、試合を決めた。35歳のDF中沢は2度もヘッドでバーをたたき、奮闘した。

 時間を追うごとに雨は強まり、ピッチはドリブルするだけで水しぶきが上がった。悪天候での戦いは想定済みで、足が芝に取られやすいゴール前でのプレーには無理に持ち込まず、ゆっくりパスを回し、ミドルシュートや、セカンドボールを狙う戦法を貫いた。富沢は「日々の筋トレの成果かな。風が思ったよりなかったのも良かった」と先制点の場面を振り返った。

 後半、敵陣の左サイドに水たまりができていた。途中出場した広島の23歳DFファン・ソッコと18歳MF野津田がその場所で横パスを出すと、味方から「前に蹴れよ!」と怒声が上がった。34歳MF中村は「2回も言われてたからね。そういう部分でもうちが勝っていた」とどこまでも冷静。出場13選手の平均年齢26・5歳の広島に、貫禄を見せつけた。

 ナビスコ杯大宮戦から中2日での戦いで、昨季リーグ王者から大きな白星。開幕5連勝は、リーグでは優勝した08年鹿島以来と、縁起も良い。この日、チームは搭乗予定だった飛行機が悪天候で欠航。新幹線で帰路に就いたが、チームバスに乗り込む男たちの足取りは軽かった。【由本裕貴】