<J1:川崎F4-0浦和>◇第16節◇13日◇等々力

 川崎Fの元日本代表FW大久保嘉人(31)は浦和戦でJ1通算100得点を決めた。

 一瞬、偉業達成の余韻にふけったのだろうか。「100」を表すパフォーマンスを終え、チームメートの歓喜の輪から離れると、胸に手を当てホッとした表情を浮かべた。J1で11人目の100得点。大久保は「早くホームで取れてうれしいし、良かったです」と率直な気持ちを吐露した。

 3-0で迎えた後半4分だった。PKのキッカーとして立つと、冷静にGKの逆を突いて「記念弾」を流し込んだ。サポーターからはC大阪、神戸、現在の川崎Fの3種類の応援歌、そして横断幕で祝福された。観客席には父の快挙を喜ぶ3人の子供たちのはしゃぐ姿。試合後に「(子供たちは)おめでとうと言ってくれました」と笑った。

 今季、川崎Fに加入。シーズン前から「得点することにこだわる」と宣言していた。その言葉通り、リーグ戦11得点を積み上げ得点ランク2位タイに名を連ねる。この日は終盤に左足をけいれんさせながら「最後は気持ちを見せておこうかと」と走りきった。全てはチームの勝利のためだ。

 亡き父にささげる100ゴールでもあった。5月12日に最愛の父克博さん(享年61)が死去。悲しみの中でも雄々しく戦い抜いた。「死ぬ前に(100得点を)やりたかったですけどね。(墓前への)報告は少し後になりますね」。少しばかり、感傷的になった。

 J1通算得点ランクは10位タイ。1位の中山雅史氏は157点、2位のカズは139点をマークしている。J1デビューから256試合目で大台に乗せたが「誰の記録を抜くとかではなく、本当に引退するまでゴールを取り続けたい。積み重ねたい。誰を目指すとかではなく。中山さんの得点数?

 取りたいですね。でも、1つ1つやっていくだけです」と満足はしていない。さらなる境地へ、そして日本代表復帰へ-。大久保は歩み続ける。【菅家大輔】

 ▼J1通算100得点

 川崎FのFW大久保嘉人(31)が13日の浦和戦(等々力)で達成。J1史上11人目。初ゴールはC大阪時代の01年4月14日磐田戦。出場256試合目で到達。ハットトリックは04年の1試合だけだったが、1試合2得点以上の「マルチゴール」は22試合。過去10人の100得点到達時の1試合複数ゴールは、中山の23試合が最多で、大久保はウェズレイの22試合と並び2位タイ。「固め打ち」が目立っての大台達成となった。