<J2:札幌1-0長崎>◇第34節◇22日◇札幌厚別

 ビン弾で3戦ぶり勝利!

 札幌MFレ・コン・ビン(27)が、長崎戦の前半15分にヘディングでゴールを決め、東南アジア人としてJリーグ初得点を挙げた。同36分に2度目の警告を受けて退場となったが、チームはこの1点を10人と数的不利になりながらも守り抜き、プレーオフ圏のライバルから貴重な勝ち点3を奪った。勝ち点を51に伸ばし、7位に浮上。6位千葉との勝ち点差は4となった。

 感情を抑えきれなかった。0-0の前半15分、DF上原の左クロスに、ビンが頭から飛び込んだ。立ち上がるとユニホームを脱ぎ、ゴール裏のサポーター前まで一目散に駆けだした。J出場3戦目、計24分。ついに生まれた東南アジア人初得点には“おまけ”が付いた。ユニホームを脱いだ行為で警告。同36分に相手選手を背後から倒し、2度目の警告を受けて退場処分となった。

 09年1月14日のアジア杯予選レバノン戦以来、自身2度目の退場。クラブチームでは初経験で「興奮してしまった。でも、ベンチで、みんなに励まされてうれしかった」と振り返った。

 退場は歓迎されないが、貴重な白星を呼ぶ1発になった。財前監督は「時間は短いが、期待通りの活躍。気持ちの入ったプレーをしてくれた」と言った。3バックの長崎相手なら、ビンが入る左右MFの守備の負担が減ると判断。代表51試合35得点の得点感覚に懸けた采配がズバリはまった。

 気分転換も効いた。14日に東京で「ベトナムフェスティバル」に参加。30人の母国の子どもたちと触れ合った後、チームスタッフの計らいで都内のベトナム料理店で食事をすると、料理長から握手を求められた。「母国の人たちや言葉に触れたことで、とてもリフレッシュできた」。サービスのコーヒーは「現役中は酒もコーヒーも飲まない」と断ったが、寂しさを振り払うひとときとなった。

 「次の試合に出られないのが残念。もうシャツは脱がない」と苦笑い。アシストデビューから1カ月で、今度はJ1号をマークした。2点目以降は決めてもはしゃがず、おしゃれに喜びを表現する。【永野高輔】