<J1:清水2-1甲府>◇第27節◇28日◇アイスタ

 清水は“甲府キラー”のFW大前元紀(23)が2得点の活躍を見せ、チームを逆転勝利へ導いた。1点追う前半14分、相手のクリアミスを拾い右足で同点弾。後半12分には、カウンターから生まれた好機で再び右足を振り抜き、決勝点をたたきこんだ。試合開始わずか21秒で先制点を許した嫌な展開を一掃する貴重な2発で、ホーム3連勝を呼び込んだ。

 チームを救ったのは、頼れるエースだった。キックオフの笛からわずか21秒でまさかの失点。守備に重点を置く甲府に対して、最悪の展開を強いられた。しかし、出場した過去2試合で連続得点中の“甲府キラー”FW大前が、ここからその本領を発揮した。

 まずは、前半14分。相手DFがゴール前でクリアミス。こぼれ球は「何となくボールが来る気がした」と、不思議な感覚を抱いていた大前の足元に吸い寄せられた。これを冷静に右足で流し込み、同点とした。

 この1点で勢いに乗ると、後半12分だった。カウンターから決定機を迎えると、FWラドンチッチのラストパスに反応。豪快に右足を振り抜き、値千金の勝ち越し弾をネットに突き刺した。ホーム3連勝を呼び込んだヒーローは、試合後「後ろがよく踏ん張ってくれた。チームが勝てたことが何よりうれしい」と、最後まで甲府の猛反撃を耐え抜いた守備陣に感謝した。

 これで、今夏の復帰から7試合で4得点。“助っ人”としてチームの好調を支えている。それでも、大前は「少しでも順位を上げるためには、上をたたけなければいけない。敵地だけど、勝って連勝したい」と満足せずに、続くアウェー広島戦を見据えた。【前田和哉】