<天皇杯:甲府1-0札幌>◇20日◇4回戦◇うまスタ

 プレーオフへ収穫あり。J2札幌がJ1甲府に敗れ、06年以来7年ぶりの準々決勝進出を逃した。0-0のまま延長戦に突入し、同後半8分に失点し力尽きた。全メンバーの平均年齢が22・4歳。今季最も若い選手構成で臨み、控え組主体ながらJ1相手に90分無失点と、プレーオフをかけた24日のJ2最終節の北九州戦(札幌ドーム)に向け、収穫のある一戦となった。

 プレーオフへ向けた財前チェックは、成功に終わった。延長後半に被弾し、敗れはしたが、控え組中心で、J1相手に挑んで113分無失点は上々の内容。財前恵一監督(45)は「先発で出た選手は、最終戦やプレーオフに向けた、いいアピールになったはず。戦える選手がそろってきた感じがある」と手応えを口にした。

 まずはセンターバックのDFパウロン(23)だ。10月6日のリーグ群馬戦以来、約1カ月ぶりの先発。4月17日の鳥取戦以降、負傷や退場などでフル出場がなかったが、この日は90分、甲府の攻撃陣を封じた。速さ、高さともにJ1相手でも対応できることが証明された。指揮官も「危ないシーンを高い身体能力で封じてくれた」と及第点を与えた。DF趙が右太もも裏肉離れで最終戦の出場が微妙。代役候補としてパウロンも「(骨折した)右手は、もう大丈夫さ。次の北九州戦も行けと言われればいくよ」と最終決戦を見据えた。

 攻撃面にも収穫はあった。MF古田寛幸(22)が3月31日のG大阪戦以来、8カ月ぶりに公式戦に復帰。後半26分に神田に代わって途中出場し、延長後半まで計49分出場した。指揮官は「もう少し積極的なプレーがほしかった」と手厳しいが、サイドハーフ候補は荒野、岡本、榊が負傷離脱中だけに、11年の昇格争いを知る15番の復調は心強い。古田は「まだまだ試合勘が足りない。残りの練習でもっと状態を上げていかないと」と気を引き締めた。

 FW内村、MF河合ら主力を休ませ、GK阿波加を始め松本、堀米、神田と1年目の選手が4人、前貴、小山内とケガで出番を失っていた2年目選手が2人先発に顔を並べた。24日の最終決戦を見据え、若手や復帰選手、助っ人パウロンの復調具合などの確認をテーマに掲げた一戦。控え組中心で、粘り強く戦い抜いた120分が、大一番に生きてくる。【永野高輔】