J2札幌が今季の勝利給を、昨季の1・5倍に増やすことが9日、分かった。昨季は緊縮財政にともない過去最低の2・8億円の強化費で戦ったが、今季は1億円増の4億円前後までアップ。経費削減のため抑えていた勝利給を上げることが可能となった。さらにアウェーは昨季の16人から18人フルメンバーで決定。勝利給、遠征費、2次合宿制の3本柱でJ1を目指す。

 14年札幌は、勝つために、しっかりお金をかける。まずは昨季、抑えていた勝利給を1・5倍まで増やすことが決まった。三上大勝GM(42)は「昨季は、選手に我慢してもらった部分がある。今季は少しでもモチベーションを上げてもらえれば」と説明した。

 勝利給以外の部分でも、必要最低限の予算を割き、チームのJ1昇格を後押しする。遠征メンバーは昨季、原則16人と2人減にしていたが、今季は18人フルメンバー同行に戻すことで決定。合宿も熊本4週1次合宿に短縮したものを、12年までの6週2次合宿制に戻した。チームの士気を高める3つの予算を、すべて昨季から増額させ、本腰を入れてJ1を目指す。

 辛抱の1年から、勝負の1年へと踏み出す。今季は広告収入で約2億、興行収入で約1億円増を見込み、総予算も13年の11億1000万円から13億5000万円程度まで拡大させる。野々村芳和社長(41)は「去年、抑えられる部分は可能な限り切り詰めた」と言う。29日に営業開始する宮の沢への事務所移転でも、家賃支出が450万円程度削減できる。1回800万円と高額な札幌ドーム利用代についても所有する札幌市と継続して交渉中だ。複数の経費見直し策が徐々に形となり、チーム関連費用に多く予算をつぎ込める態勢が見えてきた。

 勝利給、遠征費、合宿費の増額について三上GMは「今季、力を入れる大きな柱」と言う。具体的目標は4位以内に入ってのプレーオフホーム開催と、その先のJ1昇格。昨季は史上最低2・8億円の強化費でプレーオフ圏まで勝ち点2差に迫った。13年に切り詰めた分、14年はチームに万全の経費と時間をかけて、リベンジを果たす。