<J2:横浜FC2-2札幌>◇第18節◇14日◇ニッパ球

 J2札幌は横浜FCと引き分けた。前半33分に先制点を許すも、後半7分にDFパウロン(24)、同21分にMF荒野拓馬(21)のゴールで一時、勝ち越したが、後半ロスタイム2分に追いつかれ、勝ち点3を逃した。敵地連敗は5試合で止めたが、試合の締めくくり方に課題を残す結果となった。

 ショッキングな結末だった。1点リードで迎えた後半ロスタイム2分、選手の動きが一瞬、止まった。横浜FC・FW黒津が中央のスペースでボールを持ち前を向いた。危険を察知してDF陣が寄せ始めたが、遅かった。強烈な左足ミドルが、ゴールネットに突き刺さると、集まった500人のサポーターから、ため息がこぼれた。8戦連続でアウェーでの勝ち星に見放された。

 サッカーの難しさを象徴するような展開だった。荒野のゴールで勝ち越した後、財前恵一監督(45)は疲れの出ていたトップ下の宮沢を前田に代えた。「2-1になってからチャンスも多かったので、もう1点取れれば、と思っていた。宮沢も足がつっていた」と財前監督。3点目が決まれば、勝負はほぼ決まる。前半は劣勢だったが、追い付いてからペースは握っていた。一気に試合を決めにいくため積極的な采配に出たが、逆に悪夢が待っていた。

 FW都倉賢(27)は「それまで前線とDFラインがコンパクトにできていたが、最後は間延びしてしまった。リードしている僕たちがカウンターをできるような戦いを選ばなければならなかった」と反省した。今季、先制されてから逆転したのは初のケース。先に失点すると点を取るために前掛かりになった裏をつかれ失点するのが課題だったが、今回はしっかりボールを保持して自分たちのペースで2点を返した。そういう意味で進歩はあったが、勝ち点3を取るための、試合の締め方で未熟さが出た。

 前節はJリーグ初参戦の讃岐にまさかの0-1敗戦。雪辱を期した横浜FC戦は、ロスタイムで追いつかれてのドロー。なかなか勝利が続かないが、17日からはMF小野伸二(34)が全体練習に部分合流する。世界を知る男の技と経験を注入し、勝てるチームへと生まれ変わる。【永野高輔】