<J1:仙台3-2清水>◇第20節◇16日◇ユアスタ

 仙台はホームで清水を破り、リーグ再開後初の勝ち点3をつかんだ。DF上本大海(32)が右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂した12年11月7日以来、647日ぶりのスタメン出場。前半12、21分にFW武藤雄樹(25)が決めると、2-2の後半32分にはDF鎌田次郎(29)が決勝ゴール。2度の手術を乗り越えたベテランの復帰を祝う6試合ぶりの勝利で、12位に浮上した。

 誰もが背番号29の完全復活を待っていた。前半7分にFWノバコビッチへのスルーパスをスライディングでからめ捕ると、2分後にも激しい当たりでFW大前、MF河井を次々にストップ。サポーターからは「大海!

 大海!」の大歓声と拍手がわき起こった。

 1日も早く戦力に加わりたかった。右中足骨を痛めて離脱していた6月の延岡キャンプ。選手たちは宿舎からバスで移動していたが、上本は自転車でグラウンドまでの約5キロを往復した。速度の出るロードバイクではなく「あえてママチャリだよ」と下半身に負荷をかけた。室内でのリハビリ中はマスクを着用。「高地トレーニングみたいに、わざと酸素を薄くしてる。みんな頑張ってるから、俺もやらないとね」。2年弱の空白を埋めるため、陰で努力を続けていた。

 上本の姿を見ていた仲間も燃えた。前半12分、移籍後初先発したMF野沢のパスを受けた武藤がドリブルで持ち込み、左足で先制ゴール。21分にも武藤のループシュートで追加点を奪った。2-2とされた後半32分には、上本と1年9カ月前にもコンビを組んでいた鎌田が決勝ゴール。「大海さんは僕らにつらそうな顔を見せなかった。絶対不安はあったと思うし、どうしても助けたかった」。リーグ戦では03年4月から勝利のなかった清水を撃破し、5月18日以来の勝ち点3。武藤は「2点目はたまたまです(笑い)。やっと勝ててよかった」。渡辺監督は「評価できるのは勝利だけだが、自信にして次に進みたい」と逆襲を誓った。