<J1:G大阪1-0川崎F>◇第28節◇18日◇万博

 快進撃を続ける2位G大阪が、10年ぶりの7連勝を飾った。後半12分にMF遠藤保仁(34)のCKを、DF米倉恒貴(26)が頭で押し込んだ。J1初ゴールが値千金の決勝弾。直接対決を残す首位浦和が2-4で仙台に敗れ、残り6戦で勝ち点4差に急接近。この勢いのままナビスコ杯、天皇杯を含む3冠へ突き進む。

 好調のG大阪に7連勝を運んできたのは、意外な男だった。エース宇佐美でもなければ、ブラジル人助っ人のパトリックでもない。均衡を破ったのは後半12分。遠藤のCKに飛び込んだのは、身長176センチの決して大柄とはいえない米倉だった。頭で豪快にネットを揺らすJ1初ゴールだ。秋晴れの本拠地万博に訪れた、超満員の観衆からは大歓声が湧き起こった。

 「デカい選手の後ろは(スペースが)空いている。そこを狙って入りました。ナビスコ杯では点を取っていたけど、リーグ戦では取れていなかった。いつ取れるのかな?

 今シーズン中に取りたいな…。そう思っていました」

 タレントの多いG大阪では決して目立つ存在ではない。プロ8年目。生まれ育った故郷のJ2千葉を離れて、今季から新加入した。右膝靱帯(じんたい)損傷で前半戦は棒に振りながらも、元日本代表DF加地が6月にMLSチバスに移籍すると、一気に右サイドバックの定位置をつかんだ。キラリと輝く瞳に、爽やかな甘いマスク。今後の活躍次第では一気にブレークする可能性を秘めている。

 アシストをした遠藤は「(岩下)敬輔にDFがつられたと思う。その間にうまくヨネが入ってくれた」としてやったりの表情だ。W杯日本代表で守備の要のMF今野を出場停止で欠きながらも、守備陣が奮闘。米倉もサイドからのクロスを寸断するなど、川崎Fの豪華攻撃陣を封じ込めた。今季16勝のうち11度が完封。攻撃も、守備も、熟成したチームになってきた。

 一時はJ2降格圏16位に沈みながら、首位浦和と勝ち点4差に急接近。11月22日に直接対決を残すため、大逆転Vが現実味を帯びてきた。ナビスコ杯、天皇杯を含めた3冠へ、長谷川監督は「ここからが勝負。ここから最終的な順位が決まる」と目をギラリ。残り6戦。勢いをつかんだG大阪は、しばらく止められそうにはない。【益子浩一】

 ◆米倉恒貴(よねくら・こうき)1988年(昭63)5月17日、千葉県生まれ。八千代高から07年に当時J1の千葉に入団。13年の途中にMFから右サイドバックに転向。今季からG大阪に加入した。J1通算43試合1得点、J2は109試合20得点。176センチ、68キロ。

 ◆国内3冠

 同一年度にJ1リーグ戦、ナビスコ杯、天皇杯の3大タイトルを制したのは00年の鹿島のみ。そのうち2つで優勝したケースも07年の鹿島(J1と天皇杯)が最後となっている。G大阪は昨季J2に所属していたが、前年J2のクラブがJ1優勝を果たせば、11年の柏以来、2クラブ目となる。

 ◆G大阪のJ1リーグ戦7連勝

 04年以来10年ぶりでクラブ2位タイ。前回は第1ステージ(S)の13節から第2Sの4節に記録した。クラブ最長記録は9連勝で、97年第2Sの4~12節にマーク。97年当時は延長戦(03年から廃止)があり、4連勝目と6連勝目が延長Vゴール勝ち。今季のように90分間での7連勝は04年時に並ぶ最長記録。