昨年1月、9シーズンにわたってメーンスポンサーを務めてきたドイツ鉄道との契約を前倒しで解除することになった、MF原口元気のヘルタ・ベルリン。しかし残念ながら、同クラブの人気はBミュンヘンやMF香川真司が所属するドルトムント、DF内田篤人のシャルケなどに比べると、数段劣るのが現状である。そのため、半年間の猶予があったにも関わらず、名乗りを上げる企業はなかなか現れず、昨夏は胸スポンサーに企業ロゴがないままキャンプイン。開幕直前になってようやく、大手ブックメーカー「bet-at-home」と新契約を締結したのだった。

 このように懐事情が良好とは決して言えないヘルタであるが、大衆紙「ビルト」によると、同クラブは2014年、世界規模で展開する投資会社「KKR」とパートナーシップ協定を結び、資金調達の術を学んでいる最中。これまでは毎年スポンサーから決まった額を受け取り、それを元に年間予算を組んでいたが、このたびブンデスリーガクラブとしては史上初となる、クラウドファンディングを導入することになった。

 ヘルタとの共同プロジェクトを今月18日にスタートさせたカピレンド社は、ベルリンに拠点を置くオンライン専門の投資会社で、個人単位での出資者をインターネットで募り、集まった資金を依頼主である企業に融資する形態を取っている。今回のプロジェクトでは向こう60日間、同社ホームページを通じヘルタへ100~1万ユーロ(約1万2600円~約126万円)を出資することが可能で、3年後に4・5%の利子がついて返金されるという。

 なお、ヘルタはこれを通じ、だいたい100万ユーロ(約1億2500万円)の獲得を見込んでいるとのことで、集めたお金はオンライン・ファンショップやスマートフォン用アプリの整備拡大、そしてフィットネストレーナーのヘンリク・クフノ氏が欲している、選手のコンディション管理用ソフトウエア導入などに用いられる予定だ。

 クラウドファンディングという新たな試みを実行に移し、まずはデジタル分野での発展を目指しているヘルタ。これが軌道に乗っていけば、彼らは革新的なクラブとしてその名を高めることになるだろう。