ブンデスリーガの複数スタジアムで飲食物を購入する際にチップ入りカードが利用されていることについては、以前に当コラムでも紹介した。このうちフランクフルト、ヘルタ・ベルリン、アウグスブルク、カイザースラウテルン、デュナモ・ドレスデンなどの本拠地で使われているカード「Justpay」を発行しているペイメント・ソリューション社が、破産という結末を迎えてしまった。

 これによりフランクフルトの本拠地コメルツバンク・アレーナでは、5月20日のホーム最終戦でJustpayの使用が不可能となり、売店での購入は現金のみとなることが決まった。もちろん、たまらないのは、すでにカードへお金をチャージしていたファン。ドイツの複数メディアによると、同スタジアムだけで約7万枚が発行されており、総額50万ユーロ(約6150万円)の残高があると見積もられている。

 大衆紙「ビルト」によると、ヘルタのインゴ・シラー社長は「我々もペイメント・ソリューション社のプレスリリースで今回のことを知ったが、第34節のホーム最終戦でファンのみなさんにJustpayでの支払いが可能となるよう、なんとか手を尽くしていきたい。5月20日まではまだ時間がある。彼らが損失を被らないことが何よりも重要だ」と冷静さを保っているが、コメルツバンク・アレーナの運営管理会社でCEOを務めるパトリック・マイヤー氏は「ファンの方々の怒りはもっともだ。我々もとにかく怒っている」と大激怒。だが、「もしもPayment Solution社から残高が戻ってこないのであれば、我々がお金を立て替えるかもしれない」と、救済プランがあることも示唆した。

 ペイメント・ソリューション社は10日の時点で「カードに残っているお金をどうするかは、7月まで決めることができない。今シーズン残りの試合は、カードでの支払いも、カードの返却も不可能」とコメントしており、最悪の場合、20万人をゆうに超えるであろうファンのカード残高がすべて消えてしまう可能性もある。

 最終決定が下される2カ月後まで、彼らの心配は尽きないだろう。