[ 2014年2月13日9時18分

 紙面から ]銀メダルを獲得した平野(左)と銅メダルの平岡は仲良く日の丸を持つ(撮影・PNP)<ソチ五輪:スノーボード>◇11日◇決勝◇男子ハーフパイプ

 11日(日本時間12日未明)のスノーボード・男子ハーフパイプ(HP)で、平岡卓(18=フッド)が92・25点で銅メダルを獲得し、平野歩夢(15=バートン)も93・50点で銀メダルを獲得した。スノボ界は“二重の喜び”にわいた。

 ゴール脇で待ち受けていた平岡は、平野とハイタッチを交わすと笑みがこぼれた。最終滑走のホワイトを前に3位。表彰台から落ちるかと思われたが、ミスをした王者より2点高かった。「最高にうれしい。全然緊張しないで、楽しんで滑れた。メダルいけるんちゃう、と思っていた」。

 五輪直前には、尊敬する国母から直接指導を受けた。「一番難しい」と話していたダブルコークの成功に向けて、アドバイスされた。決勝2回目ではしっかり決め、「教えてくれたことが、プラスになった」と振り返った。

 家族の支えのもと、独学で歩んできた。モーグル選手だった父賢治さん(55)とスキーを始めたのは3歳。スノーボードを知り、のめりこんだのは6歳からだ。毎週末、奈良県御所市から父が運転する車で4~5時間かけ、滋賀県などのスキー場へと通った。大会に出場すれば、全選手の映像を撮影して教材にした。

 チーム全員でとったメダルだ。平岡は大のお米好き。選手村の食事は洋風が多く、口に合わないときもある。そこで萩原監督が日本からお米と炊飯器を持参し、炊きたてのご飯でおにぎり50個を握った。また、W杯の転戦、海外遠征などでともに過ごす時間が長い。時には互いの太ももをまくらに、丸くなって寝たこともあった。その輪の中から2人のメダリストが生まれ「これでスノーボード業界が盛り上がってくれたらうれしい」。

 名前の由来は「卓越する」の卓。水泳や体操、野球などスポーツはなんでもできて、運動神経は抜群。母の浩美さん(52)は「運動神経を生かす道に進んでほしかったから、よかった」。自分の長所は「本番に強いこと」と言い切る18歳。その言葉通り、少年時代から描いた夢を実現させた。

 ◆平岡卓(ひらおか・たく)1995年(平7)10月29日生まれ、奈良県御所市出身。大阪・上宮高3年在学中。3歳でスキーを始め、6歳でスノーボードに乗り始めた。10、11年に世界ジュニア選手権2連覇。13年1月に世界選手権で2位となり、同年2月のW杯ソチ大会で初優勝した。確実性の高いジャンプが持ち味。171センチ、63キロ。