◆21日の注目競技

 女子走り幅跳び予選◆出場日本人選手

 桝見咲智子(九電工)

 走り幅跳びに限らず、フィールド競技の予選では通過ラインを突破することが目標となります。今回も上位選手は1回目の試技で通過を決めにくるでしょう。メダル候補としては、アテネ五輪、大阪世界陸上で優勝したレベデワやメレシナ、ソコロワといったロシア勢と、今季ただひとり7メートルの大台超えの記録を持つリーズ(米)が挙げられます。彼女たちにとって予選は、決勝に向けてのチェックという位置付けでもあるんです。どんなに好調でも課題を見つけて、2日後の決勝に向けてしっかり修正してきます。

 決勝では跳躍自体も大切ですが、試技順もポイントになります。決勝も1回目の跳躍でどれだけ跳べるかというのは大事なのですが、自分の後の順番のライバル選手が上回ってくる可能性もある。ベスト8に残らなければいけないので、そのことを念頭に置きながら、相手選手にどこでプレッシャーをかけていくか。そういった作戦もメダル争いの中では見どころですね。決勝は予選と見方も違ってきますので、記録だけでなく駆け引きも楽しんでほしいと思います。

 桝見にも決勝へ進むチャンスは十分にありますが、ポイントは踏み切り前にスピードを落とさず跳躍に入れるか。そして自分の跳躍が、自分のイメージと合っているかを冷静に考えられるかです。予選は相手との勝負ではなく、自身との勝負。6メートル60台を出せれば通過はまず間違いないはずです。身体能力の高さに恵まれた彼女は、経験も積んで自信もついてきています。世界陸上は初出場となりますが、世界の舞台にのまれず、自分の試技をしてほしい。冷静になりすぎて、淡々と跳躍してはダメです。このスタジアムを自分のために用意された舞台と思って、「私を見て」というくらいの感覚で跳んでもらいたいと思います。決勝へ進むというしっかりとした目標を持って、観客を盛り上げるような跳躍ができれば、予選を通過するだけでなく、今までの日本人最高順位である11位も上回ってくれるでしょう。(TBS世界陸上フィールド解説・松田克彦)■TBS

 21日の放送予定23:30~28:50

 今日の見所、男子50キロ競歩ハイライト、女子走幅跳び予選、男子走高跳び決勝、男子4×100メートルリレー予選、女子200メートル決勝、男子400メートル決勝ほか