男子400メートルで18歳の新アジア記録保持者、アブドーラ・ハルーン(カタール)が44秒63で優勝した。8月の北京世界陸上でもメダル候補の1人に挙げられそうな成長を見せている。

 ハルーンが破った相手は全米選手権優勝のデービッド・ヴェルバーグ(24=米国)、ジャマイカ選手権2位のラシーン・マクドナルド(22=ジャマイカ)という短距離王国のトップ選手2人。ヴェルバーグも米国の新チャンピオンとして注目されていたが、ハルーンが0.09秒差で競り勝った。

 ハルーンは今年2月にスーダンからカタールに国籍変更した黒人選手。6月のアジア選手権(中国・武漢)で、昨年のアジア大会優勝のユーセフ・アル・マスラヒ(27=サウジアラビア)に勝って名が知られるようになった。7月5日にスイスで44秒27のアジア新、ジュニア世界歴代2位をマークしている。

 女子100メートルは、ジャマイカ選手権200メートル優勝者のエレーン・トンプソン(23=ジャマイカ)が10秒90の好タイムで優勝。福島千里(27=北海道ハイテクAC)は0.02秒差で予選通過ができなかったが、11秒25の国外日本人最高記録をマークした。

 男子棒高跳びでは荻田大樹(27=ミズノ)が5メートル60で3位と、今季は国際試合でも安定した成績が残している。男子100メートルに出場した高瀬慧(26=富士通)は10秒27で予選3組3位となり、決勝には進めなかった。

 ◆今季の男子400メートル

 5月のダイヤモンドリーグ・ユージーン大会ではキラニ・ジェームズ(22=グレナダ)が43秒95で優勝。ロンドン五輪金メダルと実績も十分の選手で、北京世界陸上の優勝候補最有力と思われた。

 しかし7月5日のダイヤモンドリーグ・パリ大会では、ウェイド・ヴァン・ニーケルク(22=南アフリカ)が43秒96のアフリカ新記録でジェームズを破って世界を驚かせた。さらにパリ大会の翌日には、スイスの試合でアイザーク・マクワラ(28=ボツワナ)が43秒72とアフリカ記録を更新し、同じレースで2位のハルーンが44秒27のアジア新をマークした。

 マクワラの43秒72は世界歴代5位。世界歴代リストのアメリカ人以外の43秒台選手は、昨年までジェームズ1人だけだったが、今季はマクワラとニーケルクを加えた3人が出している。世界陸上は大激戦が予想される。