国内の五輪代表選考がスタートし、吉田香織(34=ランナーズパルス)が日本勢最高の2位に入ったが、タイムは2時間28分43秒に終わった。日本陸連が設定した2時間22分30秒から6分以上も遅れた。日本人上位3人は代表候補にはなるが、吉田の選出は厳しい状況。残る来年1月の大阪国際女子、同3月の名古屋ウィメンズで有力候補の登場を待つ形となった。大会は昨年限りで終了した横浜国際女子の後継大会として初開催となった。

 トップとの差はみるみる広がった。30キロ過ぎで吉田は優勝したエチオピア人のバイッサに離された。3分近い差をつけられての2時間28分43秒。地元での自己記録更新に「五輪選考に上がるにはどうなのかな。(タイムは)低い」と認めた。市民ランナーとしてベストを尽くす力走だったが、五輪選考という意味では物足りない。

 昨年で終了した横浜国際女子を引き継ぐ今大会。新コースの不安、駅伝シーズン中の開催もあり有力選手は不出場。日本陸連の武冨長距離マラソン部長は「(吉田は)最後の10キロで3分遅れた。そこで勝負できないとメダルには届かない」と指摘した。

 残る代表枠は2で、選考2レースに福士、木崎、前田、野口らが出場予定。コースは違うが、昨冬の横浜国際女子で田中智美が2時間26分57秒で優勝も、今夏の世界選手権代表から漏れた。それだけに吉田の代表選出は厳しい。日本陸連としても有力候補の登場を待つしかない。【益田一弘】

 ◆さいたま国際マラソン 79年に始まった東京国際女子マラソン、その後継大会として09年から昨年まで開かれた横浜国際女子マラソンを受け継ぐ形で今回が初開催。女子日本代表選考レースとは別に、4時間以内で完走することを条件とした定員5000人の男女一般の部もある。

 ◆リオ五輪への道 枠は3人。今夏の世界選手権7位入賞の伊藤舞(31=大塚製薬)は既に内定。残る2枠を、さいたま国際、大阪国際女子(1月31日)、名古屋ウィメンズ(3月13日)の3大会から選ぶ。各レース日本人上位3位以内が対象で、2時間22分30秒の設定記録を満たした1人を優先に、五輪で活躍できる選手を選ぶ。複数の選考会に出場した場合は設定記録に到達しない限り、最初のレースが評価対象。