女子マラソンの00年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子氏(43)が、代表選考問題に心を痛めた。26日、都内で東京マラソン招待選手会見に解説者として出席。前日25日にリオデジャネイロ五輪最終選考会である名古屋ウィメンズ(3月13日)に一般参加でのエントリーが発表された福士加代子(33=ワコール)について元選手の立場で口を開いた。

 「けがのないように。それを一番望んでいます」。

 高橋氏は、04年アテネ五輪の代表選考で落選を経験した。前年11月の東京国際で日本人トップの2位も2時間27分21秒とタイムが伸びず。4カ月後の名古屋出場も検討したが、回避したことで五輪連覇の道が断たれた。高橋氏は「本当は走らなきゃいけなかった。でも私の場合は五輪で活躍できるか、を逆算して決断したので」。Qちゃん落選は世間に衝撃を与えたが、代表選考という意味では妥当だった。

 高橋氏は日本陸連理事を務めており、選考に関わることを軽々しく口にできない立場。自分と福士のケースも別ものと捉えている。ただ「人生をかけるレースなので(福士も含めて)名古屋を控えた人に影響がなければいいな、と思っています」と苦しい胸の内を吐露した。【益田一弘】