桐生祥秀(20=東洋大)は悔しさをあらわにした。向かい風0・5メートルで10秒09を出したが「10秒09とかどうでもいいですね」。50メートル付近まで先行も差された。珍しくフィニッシュでグッと胸を出したが「ちょっと早かった。普段はやらないことが出た。ゴール前で急いでしまった」。

 課題のスタートは改善された。手から先に動く形を腰から動くように訓練した。向かい風0・6メートルの1本目は山県に0秒02差をつけて10秒21で1着。2本目もスタートから前に出たが、山県との競り合った後半は動きが硬くなって2着。うまくいったはずのスタートについても「負けたんで、どっちでもいいです」。

 この日の2本目は、日本人2人が同一レースで10秒0台を記録した初のケースとなった。「日本選手権は僕が勝ちます。さらに強くなりますね」。高いレベルでの争いが、ジェット桐生の闘志に火をつけた。