雨と低温のため記録は全体的に低調で、ダイヤモンドリーグ8戦目で初めて今季世界最高が1つも誕生しなかった。だが、女子走り幅跳びや男子棒高跳び、男子やり投げなどでリオ五輪前哨戦ともいえるメンバーが激突。男子やり投げでは新井涼平(24=スズキ浜松AC)が82メートル24で4位に食い込み、リオ五輪入賞へ大きく前進した。

 新井は2回目に81メートル56を投げた時点ではトップに立った。3回目に優勝したイハブ・アブデルラーマン(27=エジプト)ら3人に抜かれたものの、自身も82メートル24とこの日の最高記録をマーク。オスロ大会(9日)の76メートル82から5メートル以上も伸ばしてみせた。

 優勝したアブデルラーマンの記録は86メートル00。2位は今季世界最高(89メートル30)を持つトマス・レーラー(24=ドイツ)で85メートル89、3位は昨年の北京世界陸上金メダリストのジュリアス・イェゴ(27=ケニア)で83メートル09。トップ選手たちでさえ低温などの影響で、自己記録を3~9メートル下回った。コンディションが良ければ、この日の新井は自己記録の86メートル83に近い投げができていた。

 結果報告をする新井のツイッターには、「今回の遠征で課題も見つかり、帰ってからやりたいことばかりです!!もっと頑張ります!応援ありがとうございました!」とオスロ大会とは対照的に明るい言葉が続き、手応えを感じている様子だった。

 男子やり投げ以外にも、リオ五輪の金メダル候補が多数出場した。

 男子三段跳びではクリスチャン・テイラー(25=米国)が向かい風のなか17メートル59を跳躍し、2位に89センチ差をつけて力の違いを見せつけた。同棒高跳びではルノー・ラビレニ(29=フランス)とショーン・バーバー(22=カナダ)の2強がダイヤモンドリーグ3大会連続ワンツーを占め、5メートル73でラビレニが3連勝を飾った。

 女子走り幅跳びはイワナ・スパノビッチ(26=セルビア)が6メートル90で、ロンドン五輪金メダルのブリットニー・リーズ(29=米国)に2センチ差で競り勝った。同円盤投げはサンドラ・ペルコビッチ(25=キューバ)が68メートル32で、昨年の世界陸上金メダルのデニア・カバーリョ(26=キューバ)らに快勝した。

◆今季の男子やり投げ

 現時点では本命不在の戦いが予想される。

 今季のパフォーマンスリスト(1選手複数試合カウント)では89メートル30を筆頭に3番目までをレーラーが占めているが、4試合が終わったダイヤモンドリーグの勝敗はレーラー2勝、ストックホルム大会優勝のアブデルラーマン2勝と五分五分の戦績。

 3人の金メダリスト、12年ロンドン五輪のケショーン・ウォルコット(27=トリニダードトバゴ)、13年モスクワ世界陸上のヴィティスラフ・ヴェゼリー(33=チェコ)、そして昨年の北京世界陸上のジュリアス・イェゴ(27=ケニア)も、ビッグゲームの勝負強さを発揮してくるだろう。

 群雄割拠の上位陣に、昨年の世界陸上9位の新井も含まれる。ストックホルムではイェゴに85センチ差と迫り、ウォルコットとヴェゼリーには2~3メートル差で勝った。不安定さが克服されれば、入賞の可能性は大きい。