女子200メートルの0・01秒差決着などリオ五輪のメダリスト対決が白熱した種目も多かったが、今季世界最高記録の誕生はなく、記録的には物足りない大会だった。また、ダイヤモンドリーグ実施32種目中半数の16種目の最終戦で、年間ツアーチャンピオンが決定した。

 男子棒高跳びはリオ五輪銀メダルのルノー・ラビレニ(29=フランス)が5メートル90で優勝し、ツアーチャンピオンにも輝いた。ラビレニはこれで、ダイヤモンドリーグが発足した2010年から7年連続でツアーチャンピオンの座を守っている。

 「スーパーなことだ。ベストパフォーマンスを何試合も続けて行う必要があり、それを維持するのは大変なことなんだ。五輪で勝つには1試合、高く跳べば良い。それができる選手は何人もいるけどね」

 チューリヒ大会で3位(5メートル84)に終わった金メダリスト、チアゴブラス・ダシルバ(22=ブラジル)のことを言外に皮肉った。

 リオ五輪銅メダルのサム・ケンドリクス(23=米国)も5メートル90で優勝。失敗試技数も同じ場合は優勝決定試技を行うのが普通だが、何らかの理由で行わず、2人優勝という珍しい結果になった。

 女子200メートルはリオ五輪金メダルのエレイン・トンプソン(24=ジャマイカ)と、銀メダルのダフネ・シュキッパーズ(24=オランダ)の対決が実現した。リオ五輪とは逆にシュキッパーズが先行したが、フィニッシュ直前でトンプソンが追い込んだ。肉眼ではどちらが勝ったか判別がつかない大接戦になったが、21秒85のトンプソンが0・01秒差で優勝した。

 21秒85は今季世界最高ではないが、ダイヤモンドリーグの歴代最高記録。2位のシュキッパーズ、3位のアリソン・フェリックス(30=米国)もシーズンベストをマークした。

 男子400メートル障害に出場した野沢啓佑(25=ミズノ)は49秒42で7位。優勝したのはリオ五輪金メダリストのカーロン・クレメント(30=米国)で48秒72。この種目の0・70秒は、縮めることが可能なタイム差である。

 野沢は「今までに感じたことのない空気感の中でレースをすることが出来ました。これを機にダイヤモンドリーグに常に参加できるくらいの力をつけて来年はもっと頑張りたい」と、所属チームのホームページにコメントした。来季以降の活躍が期待される。

 ◆今季の男子棒高跳び シーズン前半は世界記録保持者のラビレニと、昨年の北京世界陸上金メダリストのショーン・バーバー(22=カナダ)がダイヤモンドリーグの上位を占めたが、ラビレニが勝ち続けた。ダシルバはダイヤモンドリーグには参戦しなかった。

 リオ五輪はラビレニの五輪連覇が有力視されたが、大会前の自己記録が5メートル92のダシルバが、五輪新記録の6メートル03でサプライズVを果たした。ラビレニの5メートル98は、五輪で敗れた最高記録となった。

 ダイヤモンドリーグの棒高跳びはチューリヒが最終戦。7戦して5勝のラビレニが総合得点で72点を積み上げ、2位のケンドリクスに22点差をつけてツアーチャンピオンの座についた。