<山口国体>◇8日目◇8日

 ロンドン五輪標準記録を3人が突破する盛況だった。成年男子100メートルは10秒14で優勝した江里口匡史(22=大阪ガス)がA標準を、10秒22で2位の川面聡大(22=中大)と10秒23で3位の山縣亮太(19=慶大)がB標準を破った。

 今年8月のテグ世界陸上は誰も標準記録を切ることができず、陸上競技の看板種目でありながら代表を送り込めなかった。江里口と200メートル代表3人でメンバーを組んだ400メートルリレーも予選落ちに終わった。「今の短距離は弱い、レベルが下がったと言われても反論できませんでした」と江里口は振り返る。

 今回の3選手標準記録突破ですべてが解決するわけではないが、好転するきっかけにはなりそうだ。「100メートル専門の選手が色を出さないと、400メートルリレーの柱ができない。日本の100メートルは自分が引っ張るという姿勢はもちろん、タイムを出し、国際試合でも集中力を発揮したい」。江里口にエースとしての自覚が高まっている。

 2位の川面は世界陸上リレーの補欠だったが、自己記録を0.08秒と大きく更新。3位の山縣は17年ぶりにジュニア日本記録を更新した。大学1年生と若い山縣の成長は日本の短距離界にとって明るい材料だ。「準決勝からスタートが良くなりジュニア新を出せました。江里口さんには抜かれてしまいましたが、自分の武器である前半が戻ってきたのは確かです。B標準ではロンドン五輪の選考にかかるかわかりませんが、ここで満足するのでなく、もっと良い走りをしていきたい」

 2週間前の全日本実業団では、北京五輪銅メダルメンバーの塚原直貴(26=富士通)が復活して優勝している。シーズンの終盤ではあるが、五輪イヤーに向けて男子短距離に勢いが出てきた。