<陸上:ダイヤモンドリーグ上海大会>◇19日◇上海

 大会最後の種目として行われた男子110メートル障害は前世界記録保持者で、地元上海出身の劉翔(28=中国)が12秒97の今季世界最高で快勝した。劉と昨年のテグ世界陸上優勝者のジェイソン・リチャードソン(26=米国)が1台目からリード。3~4台目で劉が抜け出し以後は2位以下を引き離していく完璧なレースだった。

 「私は故郷である上海で走ることが大好きですし、自分が今持っているものすべてを出したいと思っていました」

 劉の12秒台は5年ぶりで、2008年にアキレス腱を手術した後では初めて。1台目までの歩数を7歩と1歩減らし、ハードルに対し遠くから踏み切る方法を昨年から試みている。新しい技術がまとまりつつあると見てよさそうだ。

 世界歴代3位の12秒89を持つデービッド・オリバー(30=米国)も、今年3月の世界室内60メートルハードルで劉を破ったアリエス・メリット(26=米国)も寄せ付けなかった。

 世界記録は2008年に、ダイロン・ロブレス(25=キューバ)に12秒87と更新された。劉は「世界記録のことは考えません。意識しているのは自分のスタイルを維持すること、トレーニングでやっていることをレースでしっかり発揮することです」と慎重だが、6年ぶりの世界新記録樹立も期待できそうだ。