<陸上:日本学生対校選手権>◇最終日◇12日◇東京・国立競技場

 前日まで大会新ゼロと記録的には盛り上がらなかったが、最終日に男女円盤投げで大会新記録が誕生した。

 午前中に行われた女子は高橋亜弓(筑波大院1年)が54メートル22で快勝。室伏由佳(34=ミズノ)が1998年に出した53メートル01を14年ぶりに更新した。「学生資格を伸ばしてまで競技をしていますから、自分の名前を残せたことは素直にうれしいです。あと1年あるので由佳さんの学生記録(54メートル90)も更新したいですね」

 女子円盤投げは2007年大阪世界陸上に室伏が地元枠で出場したのが最後。五輪は1964年以降代表派遣ができていないが、「いつかは世界大会に出られるようになりたい」と、高橋は意識を高く持っている。

 男子は堤雄司(国士大院1年)が56メートル89で、学生時代から引き続いて5連覇を達成した。「来年勝てば6連覇ですが“それだけ”です」とクールな話しぶり。自己2番目の好記録にも「60メートルを投げられる手応えがあったので」と、まったく喜んでいない。

 女子と同様、五輪代表は48年間出ていない。60メートル22の日本記録がマークされたのも1979年と、五輪種目では最も古い。その更新は投てき関係者の悲願となっているが、堤が見ているのはその先だ。「60メートルも日本記録も通過点。世界の決勝で戦うのが目標です」

 それを実現させるための武器はスピード。正規の規格より0.5キロ軽い円盤ではすでに65メートルを投げているという。室伏広治(37=ミズノ)も若い頃は軽い重量のハンマーを遠くに飛ばすスピードを重視し、徐々に正規の重量でもそこに近づけていった。

 世界が遠いと思われていた男女円盤投げで、希望の灯が見えてきた。