<織田幹雄記念国際:展望・その他種目編>

 陸上の織田幹雄記念国際が28、29日の2日間、広島市のエディオンスタジアム広島で開催される。8月のモスクワ世界陸上選考競技会を兼ねる日本グランプリシリーズの第3戦で、男女13種目が行われる。世界陸上で活躍が期待できる選手が多数登場する。

 春のグランプリ4大会のなかで、有望種目が最も集中した。男子100メートルだけでなく男女のやり投げ、男子棒高跳びでも世界陸上A標準突破が期待される。

 男子やり投げはロンドン五輪で決勝に進んだディーン元気(21=早大)と、2009年世界陸上銅メダリストの村上幸史(33=スズキ浜松AC)が出場。

 昨年の今大会で84メートル28の日本歴代2位を投じたディーンは、夏に調子が下降した反省から今季序盤は抑えめにしている。それでも「75メートルを投げられれば」と考えていた東京6大学(4月7日)で80メートル15と、昨年の同大会をわずかだが上回る記録マークした。

 一方の村上は「織田記念でA標準(83メートル50)を投げます」と意気込んでいる。ハイレベルの投げ合いが期待できる。

 女子やり投げはロンドン五輪代表だった海老原有希(27=スズキ浜松AC)に、自身の日本記録(62メートル36)更新の期待がかかる。実現すれば同時にA標準(62メートル00)も突破する。

 面白いのが男子棒高跳び。山本聖途(21=中京大)沢野大地(32=富士通)荻田大樹(25=ミズノ)と3人の世界陸上標準記録突破選手が激突する。

 昨年の日本選手権は激闘の末、山本が日本記録(5メートル83)保持者の沢野を破ってロンドン五輪代表に。本番では予選で記録なしと国際大会の経験不足を露呈した。そこから奮起して昨秋に5メートル65の学生新。今年に入って5メートル71の室内日本新と好調だ。

 沢野も3月に5メートル60と好調な出だし。新旧五輪代表同士の対決が注目されていたが、4月20日に荻田が5メートル70(日本歴代3位タイ)を米国でクリア。同じ試合で5メートル60の沢野を破った。

 5メートル70以上の記録を持つ日本選手が3人出場する試合は、今大会が初めてとなる。

 女子100メートル障害の木村文子(24)と同800メートルの久保瑠里子(24)のエディオン同学年コンビは、ともに広島県出身。地元でB標準(13秒10と2分01秒50)を突破したい。その先に日本記録(13秒00と2分00秒45)更新もある。

 また、男子5000メートルには前週の長野マラソンに優勝した“公務員ランナー”の川内優輝(26=埼玉県庁)が出場する。ユニバー選考5000メートルには設楽悠太(21=東洋大)ら箱根駅伝をわかせた選手たちが走る。今年の織田記念は長距離種目も盛り上がりそうだ。