<陸上:東日本実業団選手権>◇最終日◇19日◇茨城・笠松運動公園陸上競技場◇男子200メートル

 藤光謙司(27=ゼンリン)が20秒69で優勝。ロンドン五輪代表だった高瀬慧(24=富士通)に後半で追い上げられたが、0・09秒差で逃げ切った。

 8月のモスクワ世界陸上B標準には0・09秒届かなかったが「今日の状態で20秒69だったので、しっかりと調整すれば20秒2くらいで走れる」と、来月の日本選手権に向けて好感触を得た。

 藤光は2009年のベルリン世界陸上代表で、4×100メートルリレーでは4位入賞のアンカーを走った。翌2010年に20秒38の自己記録を出したところまではよかったが、2011年から記録が低下し、日本代表にも入れなくなった。原因が「ヘルニアだったかもしれない」と判明したのは今春のこと。「この1~2年、体の調子の割に力が入らなかったんです。3月に痛みとして出たのでMRIを撮ったら、完全にヘルニアになっていました。本格的に練習を再開できたのが4月の終わりから。今回、ここまで走れるとは思っていませんでした」

 今季に入って100メートルでは桐生祥秀(17=洛南高)が10秒01と日本人初の9秒台に迫り、ロンドン五輪で準決勝に進んだ山縣亮太(20=慶大)にも9秒台が期待されている。200メートルでは飯塚翔太(21=中大)が20秒21の日本歴代3位で走った。桐生と飯塚のタイムは世界大会でも入賞が期待できるレベルである。「若手に流れを持って行かれていますが、僕らもまだ頑張ればできると思えたし、本当に良い刺激になった。やっぱり負けたくないですからね」

 4年前の世界陸上はリレーの4位入賞に貢献したが、9秒台の選手とアンカーで対等に戦ってきた朝原宣治さんの跡を継ぐ形になり、「本当に自分で大丈夫かと思っていました。真っ白になって何も覚えていない」という。「もう一度あの舞台で周りの走りも感じながら、自分がどんな走りができるのか確かめたい。日本人でもできるところを見せたい」

 そのための関門が6月の日本選手権。勢いのある若手に、実業団5年目の藤光が割って入れば日本の男子短距離陣がさらに世界に近づく。