<7月前半の陸上競技展望・ユニバーシアード編>

 アジア選手権、ユニバーシアード、世界ユース選手権と3つの国際大会が7月前半に開催される。モスクワ世界陸上代表選手たちは8月の本番に向けての調整の意味合いが強いが、それぞれのカテゴリーでメダルを期待できる選手たちが多い。

 学生の総合競技会であるユニバーシアードは隔年開催。陸上競技には男子23人、女子9人の日本選手が出場し、メダル有望選手がずらりと並ぶ。

 まずは男子短距離。100メートルの山県亮太(21=慶大)、200メートルの飯塚翔太(22=中大)と日本のエースが出場する。2人ともピークを合わせているのは世界陸上だが、9割の状態でもメダル争いに加わるはず。2人が軸となる4×100メートルリレーは金メダルを期待できる。

 男子長距離も人材が豊富な種目。1万メートルには服部翔大(21=日体大)と村山謙太(20=駒大)がエントリー。服部は箱根駅伝5区の山登りで区間賞を獲得し、母校を30年ぶりの優勝に導いた。

 その服部に選考レースの兵庫リレーカーニバルで勝ったのが村山だ。箱根駅伝では服部と同じ5区で区間8位と振るわなかったが、トラックのスピードでは服部をしのぐ。

 ハーフマラソンは日本選手権1万メートルで5位と、最も勢いのある学生ランナーと評価されている中村匠吾(20=駒大)と、5月に1万メートルで27分台をマークした設楽悠太(21=東洋大)のスピードランナーが選ばれた。長い距離の安定感が武器の蛯名聡勝(22=帝京大)も加わり、メダル獲得に万全の布陣を取る。

 男子フィールドでは山本聖途(21=中京大)とディーン元気(21=早大)のロンドン五輪代表コンビがメダル候補。棒高跳びの山本は絶好調で、先週の日本学生個人選手権で5メートル75と今季2度目の学生記録更新。「ユニバーでメダル、世界陸上で入賞」という道筋を描いている。

 対照的にやり投げのディーンは不調に陥っている。日本選手権までに世界陸上の標準記録が破れず代表入りできなかった。ユニバーシアードは81~82メートルが優勝記録と予想される。金メダルで復調をアピールしたい。【7月前半の主な陸上競技大会】7月4~7日:アジア選手権(プネー・インド)7月7~12日:ユニバーシアード(カザン・ロシア)7月10~14日:世界ユース選手権(ドネツク・ウクライナ)