<陸上:第82回日本学生陸上競技対校選手権大会>◇最終日◇8日◇東京・国立競技場

 男子走り高跳びは2連勝した戸辺直人(21=筑波大)が2メートル28の学生歴代2位タイに成功。1987年に筑波大の先輩の井上基史が跳んだ大会記録に26年ぶりに並んだ。「遅すぎましたね。3カ月前に跳んでおかないといけませんでした」。戸辺の第一声は反省の弁だった。2メートル28はモスクワ世界陸上のB標準で、この高さを6月の日本選手権までに跳んでおけば、初の五輪&世界陸上代表入りができた。

 戸辺は2メートル19の1回目、その高さの2回目をパスして挑んだ2メートル22の1回目と連続で失敗して窮地に立った。「風が向かっていたこともあって、助走が崩れてしまいました。でも、2メートル22は跳べる自信があったので、19(の2回目)をパスしました」。

 2メートル22を3回目でクリアしたが、その時点では大学院生の衛藤昴(22=筑波大)の方が暫定順位は上だった。しかし2メートル25を戸辺が1回目に跳んで優位に立った。衛藤も3回目に成功して食い下がったが、2メートル28を戸辺だけがクリアして決着。2メートル31も腰くらいまでバーを越えていた。「2メートル28は特別に何かが良かったわけではなく、崩れた助走が元にもどって普通に跳べた跳躍でした」。

 試合がなくなった夏の間に、もう1度体力的なトレーニングがしっかりできた。技術的には「シーズン序盤は助走全体をまとめようとしてまとめきれなかった。今回は踏み切りだけを合わせること」に変更した。その結果が自己記録の2センチ更新となった。

 高校3年時の国体で2メートル23の高校記録を樹立。193センチの長身が魅力だった。大学1年時には世界ジュニアで銅メダルを獲得。200メートルの飯塚翔太(22=中大)、やり投げのディーン元気(21=早大)らと“プラチナ世代”と呼ばれて将来を期待された。「4年間で身長は1センチ伸びました(笑)。自己記録は今日で5センチ伸ばしましたが、物足りないですね。10センチくらいは伸ばしたかった」。

 高校時代プラス10センチなら2メートル33。日本記録であり、五輪&世界陸上でも入賞できるレベルだ。最後のインカレでその足がかりを得た。