<東京国体:陸上>◇5日◇味の素スタジアム

 男子やり投げは村上幸史(33=スズキ浜松AC)が6投目に77メートル45を投げて優勝したが、2位の新井涼平(22=国士大)の健闘も目を引いた。4回目に77メートル40を投げて村上を逆転し、3~4回目をパスしていた2009年ベルリン世界陸上銅メダリストを再びピットに立たせた。

 「この記録では勝てたとしてもうれしくありません。やっぱり、80メートルを投げて勝ちたいですから。1投目のファウルがよくありませんでした。そこでファウルをせずに2投目、3投目と修正していけたら80メートルも狙えたと思います」。大学2年時の日本選手権で78メートル21を投げて注目され始めた新井だが、村上とディーン元気(21=早大)の2人には一度も勝ったことがない。ディーンは同学年でもあり、ライバル意識は特に強い。

 また、来春のスズキ入社が決まっている。スズキ浜松ACで村上の後輩となるが、後継者となるには偉大な先輩を倒す必要がある。「社会人で続けるからには村上さんとディーンに勝てる選手にならないと意味がありません。今年はウエイトトレーニングで挙げられる重量が大きく伸びました。ディーンとは同じくらいでしょうけど、村上さんにはかないません。技術を上げて2人に勝ちたい」。

 7月上旬のユニバーシアードは8位入賞と、国際舞台でも力を出せるタイプ。自己記録を2年間更新できていないが、7月末には78メートル19と2センチ差に迫った。アベレージも77メートルに迫る安定感が出てきているので、一気に記録を伸ばす可能性は十分ある。「やりが高く浮いてしまう傾向があるので、村上さんのように低い弾道で投げることを課題にしています」。

 世界レベルの男子やり投げに、新たな男が参入してきた。