女子マラソン前日本記録保持者の渋井陽子(33=三井住友海上)が、今夏の世界陸上モスクワ大会出場を目指し、最後の選考レースとなる4月21日のロンドンマラソンに出場することが11日、分かった。代表候補になるには、派遣設定記録(2時間23分59秒以内)達成が絶対条件と厳しいが、再挑戦に望みをかける。

 渋井はモスクワ大会を目指し、今年1月の大阪国際に出場。25キロ付近から失速し2時間32分41秒の8位に沈んだ。レース前には「心から“もういいな”と思ったらスパッとやめる」と話し、レース後は「どうしようか迷っている」と進退を決めかねていた。

 それも10日ほどで心を切り替え練習再開。再挑戦は前日10日の名古屋ウィメンズも視野に入れたが「海外では安定している」(渡辺重治監督)こともあり、ロンドンを選択しエントリーも済ませた。練習の一環として17日の全日本実業団ハーフ(山口)に出場。沖縄合宿も予定している。

 代表枠5人の選考は、現状で木崎良子が決定し、他には4人が有力だ。ロンドンには赤羽有紀子(ホクレン)伊藤舞、中里麗美(ダイハツ)もエントリー。4、5番手とされる那須川、渡辺を逆転しての滑り込みを狙う。同学年の野口みずきの快走に刺激された渋井が、マラソン17度目のロンドンに全てをかける。

 ◆渋井と海外レース

 国内12大会、海外4大会に出場し優勝は各2回。海外は01年世界陸上4位、02年10月シカゴ3位、04年ベルリンは当時日本最高の2時間19分41秒で優勝。平均順位は2位、タイムも調整の一環で走った09年7月のサンフランシスコ(優勝)を除けば2時間22分30秒。一方の国内平均は2時間28分59秒で5位と、単純比較はできないが渡辺監督の「海外で安定している」という言葉を裏付ける。