<世界トップへ挑む:下>

 ベテランと若手、理想の融合だ。男子やり投げで世界レベルにある2人が、東京でしのぎを削る。日本歴代2位の村上幸史(33=スズキ浜松AC)と同3位のディーン元気(21=早大4年)。やりが描く放物線は、東京からモスクワへ鋭く向けられる。◆村上「経験」の85メートル96

 広島の空に、健在ぶりを示した。4月29日の織田記念。村上が3投目に85メートル96のビッグスローを出した。自己記録を2メートル01も更新。日本記録にも1メートル64と迫った。昨年ロンドン五輪金メダル相当の数字で、世界選手権派遣設定記録(84メートル27)もクリア。「しっかり腕を振り切れたからA標準(83メートル50)ぐらいかなと。それが思いのほか伸びた。今までの経験が生きた」と会心の投てきを振り返った。

 昨年のロンドン五輪は日本選手団の主将を任されながら予選落ち。春先の故障が響いた。「33年間の中で性格に似合わず一番体には気をつかった」のが順調な滑り出しの要因だ。ディーンの存在も「刺激になり、ありがたい存在。見本にしている」と素直に認める。◆ディーン「抜かすのが楽しみ」

 織田記念では、村上に10メートル近くも届かぬ76メートル38の3位に終わったディーン。昨年の同大会で出した84メートル28の日本歴代2位の座も、村上に譲った。ただ表情に落ち込むそぶりはない。「ついに先を行かれたけど、また抜かすのが楽しみ」と笑みさえ見せる。風という条件が敗因として明確で、修正点も承知済みだ。

 スロースタートを掲げるのが余裕のよりどころだ。決勝進出も昨年のロンドン五輪は10位。春先から飛ばした反省を踏まえ、今年は8月の世界選手権にピークを合わせる。2月の南アフリカ合宿では北欧勢の技術を吸収した。ゴールデングランプリで海外勢と相まみえた時、少しだけ本能が呼び覚まされるかもしれない。ビッグスローに注目だ。◆セイコーゴールデンGP観戦ガイド▽日時

 5月5日(日)午前9時30分開場、同10時30分サブイベント開始、午後0時35分競技開始▽会場

 国立競技場▽入場料

 カテゴリー(1)一般3000円、中高校生2000円。※前売り券はプログラム付き。各エリア内自由席。小学生未満無料。▽大会HP

 http://goldengrandprix-japan.com