<陸上:第38回高島平・日刊スポーツロードレース大会>◇20日◇東京・高島平5キロ周回コース

 公務員ランナーが究極の“世界初”に挑む。一般男子20キロに川内優輝(26=埼玉県庁)がゲスト参加し、59分17秒をマーク。順位こそつかないが、優勝したガンドゥ・ベンジャミン(モンテローザ)に3秒差の2着でゴールした。レース後に川内は、年内の目標として「世界で誰も達成していないはず」という、マラソン月間2度のサブテン(2時間10分切り)を掲げた。

 苦手の暑さがたたり、世界選手権18位に終わったモスクワの失意から2カ月。鳴りを潜めていた川内節は健在だった。降雨と強風、低温で体を震わす周囲をよそに、満面の笑みと速射砲の語りを振りまく。「寒くて気持ち良かった~。途中でボロボロ落ちる学生を拾うのも楽しい。向かい風はベンジャミンに引っ張らせて、追い風の時はボクが引っ張る。単体の20キロでは自己ベストです」。気温が下がるほど、テンションは上がるようだ。

 来月3日のニューヨークシティマラソンに向けた調整の一環。「ニューヨークに向けて質としては申し分ない。いい練習になった」と喜んだ。そのニューヨーク後に夢がある。来秋のアジア大会代表をかける12月の福岡国際と防府という、月間2度のマラソンだ。

 昨年に続き今年も年間11のマラソン出場。月間2度も過去に3回ある。だが、それだけでは満足しない。「月間2回のサブテン。世界で誰もやっていないでしょう。それが今の目標です!」。既に防府の主催者側にペースメーカーを依頼する念の入れようだ。

 前日は箱根駅伝予選会で母校の学習院大を応援後、この日に備えカプセルホテルに宿泊。3000円ですっかり満喫したという。「招待されない選手になっても宿泊費は困りません。カプセル、いいですよ~」。秋深まり川内の季節到来だ。【渡辺佳彦】