<陸上:猪苗代湖ハーフマラソン>◇27日◇福島・猪苗代町総合体育館「カメリーナ」発着

 公務員ランナー川内優輝(26=埼玉県庁)が気を良くして、上位入賞を狙う11月3日のニューヨークシティー・マラソンに臨む。川内は27日、福島・猪苗代湖ハーフマラソンにゲスト出場。気温9度に強風と降雨のため1時間7分53秒のタイムだったが、気分は秋晴れ状態で終えた。

 レースにはマラソン日本歴代4位の佐藤敦史(35)も出場。10年東京マラソンで川内は、佐藤に1秒差の4位で「自信と飛躍のきっかけになった」という。その佐藤から「川内君が火をつけ起爆剤になり強いニッポンが戻れば。日本選手は足を細くしてしまうが、川内君を後ろから見ると、しっかり筋肉を付けてパワーで走る。世界と勝負する足と走り」と太鼓判を押された。佐藤は昨年5月で所属する中国電力を休職。スポーツ活動を通じ故郷・福島で復興を支える。そんな生きざまに川内も「実業団を離れ独自のスタイルを貫く佐藤さんには共感するし尊敬する」と目頭を赤くした。

 川内自身も「東北6県制覇」を喜んだ。11年3月の東日本大震災以降、各県のレースに招待され、この日の福島県が6県目。トークショーでは「自分の人生を思い返しても、あきらめなければ未来は開ける。困難に立ち向かってほしい」と訴え、レースでは一般市民相手でも「次の世代に見てほしい」と全力疾走。紅葉のごとく、川内の胸中は真っ赤に染められている。