<高校総体:陸上競技>◇7日◇岩手・北上市

 陸上の男子110メートル障害決勝で、函館大有斗(北海道)・増野元太(3年)が、自己ベストの14秒01をマークし初優勝した。昨年の腰山高弘(筑波大-函館)に続き、2年連続の道勢V。予選から1度もトップを譲ることなく完全勝利だった。「タイムとかは気にせず、とりあえず優勝だけを目指した」と笑顔を見せた。

 圧巻の走りだった。決勝では4台目付近から加速。2位に0・39秒差を付けゴールした。95年に男子100メートルで全国優勝している同校OBの西川康秀監督(34)も「1週間前から良かったので、今日は必ず来ると思った」と、自身以来となる同校の全国優勝者をたたえた。

 「ハードラー一家」の血は受け継いでいた。父芳幸さん(61)は函館東時代に同種目で全国に出場。国体にも3度出た。兄太郎さん(東海大北海道2年)も09年に同種目で全国に出場しており、家族そろって全国経験者だ。西川監督は「ハードルをまたぐ能力が高い。感覚の取り方がうまい」と増野の才能を話す。

 昨年は8位。スタートした瞬間から周囲のスピードについて行けず、一瞬レースを止めようか迷ったと言う。芳幸さんは「まるまる1年間。あれからよく努力した」と目を細めた。研究熱心で、参考になる走りをビデオでチェックするなど向上心も高い。努力を重ね雪辱を果たした。

 次は、道高校記録の13秒99越えを目指す。この日は、追い風2・4メートルの条件だったが、逆に風を背負いすぎてハードルまでの距離が詰まってしまった。「13秒台を出したいですね」。全国の頂点に立った北のハードラーが、次なる目標を見据えた。【石井克】