<全国高校総体:陸上>◇第4日◇7月31日◇大分銀行ドーム

 陸上男子100メートルで日本初の9秒台を狙う桐生祥秀(17=京都・洛南高3年)が、大会新記録で初タイトルを獲得した。この日3レース目となった決勝で追い風0・1メートルの中、10秒19。94年に高橋和裕の記録した10秒24を19年ぶりに更新し、中学、高校を通じて初の日本一になった。

 視察に訪れた日本陸連の伊東浩司・男子短距離部長(43)は、桐生に押し寄せる記録への過大な期待を察した。「ぼくも10秒05を出した時に『もっと頑張らなきゃ』と言われました。(10秒)19なんか、すごいタイムなのに」。98年アジア大会で10秒00の日本記録を樹立。その後に10秒0台を出しても、周囲のまひした感覚を味わった。10秒19のタイムにため息が漏れた、この日のスタジアムの空気とだぶらせた。

 「藤浪だって大谷だって疲れが出てくるんですよ」と、大好きなプロ野球の大物ルーキーを例に挙げ、桐生の疲労も察知。技術面では「自分が“これだ”と思っても収まりきらず、いろいろ調整しても歯車が合わないのかな」と分析した。ただ、この日の準決勝で最後を流して出した10秒3台を評価。「世界陸上も3台を切るところで1本目(予選)を入れば」と期待した。