フィギュアスケート元世界女王で現役続行する浅田真央(24=中京大)の復帰戦が、10月3日にさいたまスーパーアリーナで開催されるジャパンオープンになることが25日、主催者から発表された。

 浅田のほか15年世界選手権銀メダリストの宮原知子も出場。また欧州チームでは15年世界選手権金メダリストのハビエル・フェルナンデスの出場も予定されている。

 1年間の休養をへて復帰する来季は、国内で歩みをスタートさせる。すでに10月下旬に開幕するグランプリ(GP)シリーズへの出場は表明。ジャパンオープン出場で、12月の全日本選手権(札幌)は予選免除で出場できる。

 浅田の復帰ロードが定まった。戦い慣れた国内、幾度となく会場を沸かせた埼玉で、再び世界の頂点に立つための戦いを始める。日本、欧州、北米の3地域が団体戦形式で争うジャパンオープン。過去7度出場し、日本の優勝にも幾度も貢献してきた大会。シーズン初戦として、さらに休養後に復帰する選手として、絶好の場となる。

 大会はフリーのみで競われる。通常の大会ならばショートプログラム(SP)との合計点が順位となるが、1種目だけで済む。1年間のブランクがあり、体力面の影響がないとは言いきれない。慎重に復帰戦のタイミングを考えてきただけに、1日開催で演技はフリーだけという大会形式は願ってもない。

 さらにジャパンオープン出場で、年末の全日本選手権への道も開ける。昨年の同大会不出場の浅田は、本来ならブロック予選を突破する必要がある。ただし、日本連盟には国際連盟公認大会に参加する選手は、その前後1週間の地方大会は免除される規定がある。1次予選となる9月の中部選手権はジャパンオープンの前週で、該当する。

 さらにGPシリーズの中国杯(11月6日開幕、北京)に参戦予定で、2次予選となる西日本選手権も免除となる。順調に試合に出れば、2年ぶりの日本一決定戦の舞台に上がれる。試合数を最低限に抑えられ、練習もしっかりとこなせるという意味で、これ以上ない復帰後の日程になる。

 浅田は現在、自らが座長を務め、7月から始まるアイスショー「THE ICE」に向けて滑り込んでいる。今月には振り付けのためカナダに渡り、着々と準備を進めている。仕上がり次第では、競技用の新しいプログラムをショーで披露する可能性もある。

 ジャパンオープンの会場は、休養前最後の演技となった14年3月の世界選手権を戦った場所。4年ぶり3度目の世界女王に輝いたリンクになる。それから1年と7カ月後。同じ舞台で、新たな道は始まる。

 ◆ジャパンオープン 06年に初開催。日本、欧州、北米の3地域が1チーム男女各2人の団体戦形式で、合計点で争う。SPは行わず、フリーのみ実施。08年までは毎年4、5月に開催されていたが、09年からは10月上旬に変更され、シーズン初戦に選ぶ選手も多い。プログラムへの審判や観客の反応を測る貴重な機会となっている。国際スケート連盟公認のため、海外の出場選手のレベルも高い。日本は06、07、08、10、12、13年と6回優勝している。

<ソチ五輪以降の浅田真央>

 ◆14年2月 集大成として臨んだソチ五輪で6位。SPでは16位と崩れたが、フリーでは世界中を感動させる会心の演技。トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を成功させた。

 ◆同 ソチ五輪から帰国後、日本外国特派員協会で会見。「ハーフ、ハーフ」と、独特の表現で進退に揺れる心中を明かした。

 ◆5月 都内で会見し、「体も気持ちも少しお休みする」と、1年間の休養を宣言。3月の世界選手権優勝後から、進退を検討してきたが答えは出ず、14~15年シーズンは競技から離れることに。

 ◆15年3月 中京大の卒業式に出席。「2度の五輪に出られたのも、このリンクがあったからこそ。(今後も)拠点に」と希望。

 ◆5月 アイスショー「THE ICE」の発表会見で「試合が恋しくなり、達成感をまた感じたいと思い始めた」と、現役続行の意思を示す。

 ◆6月 国際連盟が来季のGPシリーズの出場選手を発表。中国杯とNHK杯へのエントリーが決まった。日本連盟の特別強化指定選手にも2年ぶりに復帰。