宇野昌磨(18=中京大中京高)が、くるりと後ろを向いた。フリーでラストとなる8つ目のジャンプ。演技予定表は前向きで踏み切るダブルアクセルからの連続ジャンプ。だが冒頭でミスした4回転トーループを最後のワンチャンスで取り返しにいった。「どこか絶対にやってやるとずっと思っていた」。結果は2回転になったが「攻めた。逃げずに終われた」と毅然(きぜん)とした顔で言った。

 9月のシニアデビュー初戦となった米国での国際大会。弱気になってジャンプに失敗し、SPで52・45点の9位。「あの時は逃げて失敗した。逃げたくなかった。この選択が正しいと思う人は少ないかもしれないが、攻めて失敗した方がすがすがしく終われる。間違った行動じゃなかった」。

 3位無良と3・69点差で2位を死守した。世界選手権代表の座を確実にした。大事なフリーで無謀と紙一重ともいえるが、樋口コーチは「そこまでバカではないので。やらかしちゃうこともあるかもしれないけど、たぶん大丈夫です」とにっこり笑った。3年計画で平昌五輪を見据える冷静さと一気に燃え上がるチャレンジ精神。2つの要素を同居させることも、18歳の大きな魅力だ。【益田一弘】