五輪の金メダル4個を獲得した北島康介(33=日本コカ・コーラ)が8日、現役引退を表明した。

 男子200メートル平泳ぎ決勝で2分9秒96、5位に終わった。これで出場全種目を終え、5大会連続五輪出場の可能性はなくなった。

 レース後、取材エリアで「悔いは残っていない。真剣勝負はこれで終わりです」と明かした。

 レース直後のインタビューでは自分の気持ちを北島らしくファンに伝えた。「わりとすがすがしい気持ち。最後まで自分なりのレースができたんじゃないかな。結果は良くないけれど五輪行きたい気持ちを、もう1度持ってやれた。僕の中でも頑張り切れた。悔しいけれど、はればれしい。やり切った感でいっぱい。選手として最後はここまでだったけど、ここまでパフォーマンスできた。自信を持って次のステージにいきたい」と話し涙した。

 日本競泳界のエースとして長く活躍した。五輪は2000年シドニー大会に高校3年で初出場。100メートル平泳ぎで4位入賞した。2002年アジア大会の200メートル平泳ぎで世界新記録を樹立し、一躍世界のトップ選手となった。その勢いを持続し、2004年アテネ五輪では100メートル、200メートルの2種目で金メダルを獲得。レース後の「チョー気持ちいい」という言葉は流行語となった。2008年北京五輪でも2冠を達成。インタビューでは感極まり「なんも言えねえ」と答えた。

 2012年ロンドン五輪では個人種目のメダルは逃したものの、男子400メートルメドレーリレーで銀メダルを獲得。チームリーダー松田の「康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかない」とのコメントは話題となった。

 小学生の頃から現競泳委員長の平井伯昌氏の指導を受け、金メダリストまで上り詰めた。大学を卒業してからは事実上のプロ選手として活動。マネジメント会社の社長も務めるなど、日本の競泳界に新たな道を切り開いた選手だった。

 1位は2分8秒45で小関也朱篤(24=ミキハウス)、2位は2分9秒45で渡辺一平(19=早大)。同種目で2選手がリオ五輪切符を手にした。